2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591097
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
岩崎 泰正 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (30303613)
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Keywords | 遺伝子 / ストレス / ミネラルコルチコイド / グルココルチコイド / アルドステロン / 核内受容体 / 転写調節 / ステロイド |
Research Abstract |
平成20-21年度の本研究で私共は、アルドステロンの分子標的であるミネラルコルチコイド受容体(MR)による遺伝子転写制御は、グルコチコイド受容体(GR)を発現しない細胞では再現することができず、GRの共存、ないし何らかの転写共役因子の共存が必要であることを明らかにした(Tsugita M,Iwasaki Y, et al. Life Science 83:426)。そこで本年産は、MRのみならずGR依存性の遺伝子転写調節にも焦点を当て、以下の検討を行った。 1.GRによる転写調節の分子機構 GRにはGRα(野生型)のほか多くのアイソフォームが存在する。私共は各アイソフォームの発現ベクターを作成してその機能を解析した結果、GRβおよびGRγが、GRαの作用を転写抑制効果特異的に優勢阻害することを明らかにした。この成果はアメリカ内分泌学会の学会誌に公式に掲載された(ENDOCRENOLOGY 2010;151:3204-3213)。 2.MRによる転写調節の分子機構 MR依存性の転写に関しては、MR単独では転写誘導効果を発揮できないことから、MRと共役する可能性のある種々の転写共役因子との相互作用に関する検討を行った。その結果 (1)代表的な転写共役因子であるCBPやp300はMRの機能に影響を与えない。 (2)PGC1αおよびPBC1βは、MR依存性の遺伝子転写を有意に回復させる。 (3)SRC1およびSRC3は、MR依存性の転写をさらに強力に誘導させる。特にSRC3の共存効果が最も強力である。 (4)この効果は、MR蛋白のN末端部分(アミノ酸15-42)に依存しており、この部分を欠落させるとMRとSRC3により転写誘導活性が消失する。 以上の結果を得た。上記の成果は、研究協力者である次田が、第37回日本神経内分泌学会で発表した。
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