2009 Fiscal Year Annual Research Report
グレリン受容体発現抑制遺伝子改変ラットを用いたグレリンのエネルギー蓄積機構の解明
Project/Area Number |
20591103
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
芝崎 保 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (00147399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞野 あすか 日本医科大学, 医学部, 助教 (50343588)
根本 崇宏 日本医科大学, 医学部, 講師 (40366654)
大畠 久幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (80256924)
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Keywords | グレリン / グレリン受容体 / 体脂肪 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
グレリン投与は成長ホルモン(GH)分泌、摂食、体脂肪蓄積を促進し、我々が作成したグレリン受容体発現抑制遺伝子改変ラットでは低体脂肪、褐色脂肪組織(BAT)の重量の増加傾向とUCP1発現亢進が認められている。加齢に伴う体脂肪蓄積には脂肪分解作用のあるGHの分泌低下が関与していると考えられているが、グレリンの関与に関しては不明であった。前年度には、体脂肪の少ない4週齢、体脂肪増加の始まる8週齢、体脂肪が蓄積した20週齢の雄ラットを用いて、外因性グレリンによるBAT内のノルアドレナリン(NA)分泌抑制作用は加齢に伴い減弱することを明らかにした。今年度は、グレリン受容体拮抗薬であるD-Lys^3-GHRP6のラット脳室内投与により内因性グレリンの作用を阻止した状態でのBATでのNA分泌を測定し、加齢に伴う内因性グレリンの働きを検討した。グレリン受容体拮抗薬の投与は4週齢ラットではNA分泌に影響を与えず、8週齢、20週齢ではNA分泌を有意に増加させた。さらに20週齢は8週齢に比較し、低用量の拮抗薬に反応してNA分泌の上昇が認められた。以上の結果から、8週齢以上では内因性グレリンのBATでのNA分泌抑制作用が存在し、さらに8週齢よりも20週齢ラットでグレリンにより敏感に反応してNA分泌抑制が生じている可能性が示された。BATはエネルギー燃焼の重要な組織であること、加齢に伴いラット血中グレリン濃度が上昇することからも、加齢に伴いグレリンによるBATの機能抑制作用が強まり、その結果、エネルギー燃焼が弱まり脂肪が蓄積し易くなっている可能性が示された。また、本グレリン拮抗薬のラット脳室内投与は視床下部室傍核におけるFos発現に影響を与えなかったが、視床下部背内側核のFos発現を有意に増加させた。後者のニューロン活性化がBATの熱産生を促進するという報告があることから、グレリンによるエネルギー代謝抑制に視床下部背内側核ニューロン機能抑制が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)