2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経堤細胞特異的プレセニリン1欠損による成長ホルモン分泌不全症モデル動物の樹立
Project/Area Number |
20591104
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
中島 光業 松山大学, 薬学部, 准教授 (70311404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 美子 松山大学, 薬学部, 教授 (20219108)
奥山 聡 松山大学, 薬学部, 助教 (40550380)
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Keywords | プレセニリン1 / アルツハイマー病 / 神経堤 / 下垂体 / 成長ホルモン |
Research Abstract |
プレセニリン1(PS1)の生物学的機能に関しては、これまで全身的にPS1を欠損させたノックアウトマウス(KO)の病理学的解析を通して、神経発生過程や体節形成過程への関与が報告されてきた。しかし、このKOは出生前後に死亡するため、生後におけるPS1の機能については十分に解析がなされていなかった。そこで本研究では、PS1の欠損を神経堤由来の組織に限定したKO(コンディショナルKO : cKO)を作製し、その表現型を組織学を中心に解析を行い、生後におけるPS1の機能解析を行った。作製した神経堤細胞特異的PS1欠損マウス(PS1-cKO)では出生後数日間は外観上異常は認められなかった。しかし、3週齢頃までに約50%の頻度で低体重・低身長の個体が認められた。成長ホルモン(CH)分泌不全症との関連性を探る目的でGHの下流で発現制御を受けるIGF-Iの血中濃度を測定したところ、低体重・低身長の変異マウスにおいて血中IGF-I濃度の低下が認められた。低体重・低身長の変異マウスより下垂体を摘出し組織観察したところ、前葉部分に明らかな萎縮が認められた。そこで、下垂体ホルモンACTH、 TSH、 PRL、 GHに対する特異抗体を用いて免疫組織化学を行った。変異マウスで異常が認められた下垂体ホルモンはGHのみであった。即ち、変異マウスにおいて下垂体GH陽性細胞数が明らかに減少していた。次に、脳内でのPS1欠損部位を特定するために、PS1タンパク質に対する抗体を用いて下垂体の免疫組織化学を行った。さらに、R26Rレポーターマウスを用いて、PS1遺伝子欠損部位の特定をX-gal染色で行った。結果は予想に反して、変異マウスでは後葉特異的にPS1の欠損が確認された。以上の結果より、PS1は下垂体後葉や視床下部での働きを介して間接的に、下垂体前葉のGH陽性細胞の成熟維持に必須であることが示唆された。
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