2008 Fiscal Year Annual Research Report
老年期骨粗鬆症治療戦略確立の探索的研究〜骨形成促進作用を持つ新規骨粗鬆症薬〜
Project/Area Number |
20591105
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡田 洋右 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 講師 (80333243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
|
Keywords | ガレクチン9 / 骨芽細胞 / lipid raft / CD44 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
【目的】レクチンファミリーであるガレクチンの中で、タンデムリピート構造をもつガレクチン9が、骨芽細胞のlipidraftを介した増殖誘導作用を有することを報告してきた。骨芽細胞上のCD44は細胞内でSmad1と会合していることが報告されているがその詳細は不明である。今回、galectin-9による骨芽細胞分化促進作用にCD44-Smadシグナルが関与することを明らかにした。 【方法および結果】1)galectin-9添加によりヒト骨芽細胞におけるALP活性およびALP染色が用量依存性に増加した。2)galectin-9添加によりALP、osteocalcin、OsterixのmRNAが増加することをRT-PCRで確認した。3)galectin-9添加によりSmad1/5/8のみが経時的にリン酸化されることをwestern blottingで確認した(Smad2/3では認めず)。しかし、galectin-1ではどちらもリン酸化されなかった。4)BMP response elementであるId-1 promoterを遺伝子導入し、luciferase assayにてpromoter活性を検討するとgalectin-9添加により用量依存性に活性は上昇した。5)ChIP assayではgalectin-9添加によりSmad1が核内へ5~180分まで留まっていた。6)BMP receptor2のN末端とCD44を違う色でラベルし、共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、BMP receptor 2とCD44のco-localizeが確認された。7)CD44の中和抗体をgalectin-9と同時に添加し、30分後にp-Smad1/5/8のwestern blottingを行ったところ、抗体用量依存性にバンドは消失した。 【考察】galectin-9は、ヒト骨芽細胞においてBMP receptor2とCD44をクロスリンクしてCD44直下のSmad1を直接リン酸化し、骨芽細胞分化を誘導する事が明らかとなった。昨年報告したgalectin-9による骨芽細胞増殖促進作用および今回の結果より、高齢者骨粗鬆症における病態の特徴である骨形成低下に対して、galectin-9は骨形成を促進する有力な治療薬となり得る可能性が示唆された。
|