2010 Fiscal Year Annual Research Report
老年期骨粗鬆症治療戦略確立の探索的研究~骨形成促進作用を持つ新規骨粗鬆症薬~
Project/Area Number |
20591105
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡田 洋右 産業医科大学, 医学部, 講師 (80333243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
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Keywords | 骨折 / 2型糖尿病 / ホモシステイン / ピオグリタゾン / メトホルミン / 骨吸収マーカー |
Research Abstract |
【背景・目的】チアゾリジン誘導体は、血糖コントロールのみならずアディポネクチンや脂質も改善し大血管イベントを低下するが、女性において骨折頻度を高める可能性が報告された。骨折リスク上昇の原因は明らかでなくPPARγの骨代謝に及ぼす影響も不明である。2型糖尿病患者においてピオグリタゾンの骨代謝や骨質に及ぼす影響についてメトホルミンを対照薬として前向き研究を行った。【方法】2型糖尿病54例(男23例、女31例)を、ピオグリタゾン(男30mg、女15mg:P群)、メトホルミン750mg(B群)に無作為割付を行った。投与3ヵ月後の骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)、血清N-telopeptide(sNTx)、血清C-telopeptide(sCTx)、ホモシステインについて検討。主要評価項目は骨吸収マーカーの変化。副次評価項目はその他の骨代謝・骨質マーカーの変化。【結果】1)症例背景(男23例、女31例、年齢64.4歳、BMI 24.9、HbA1c 7.0、IRI 7.6)。P群、B群で患者背景に有意差なし。2)骨吸収マーカー:sNTxはP群で上昇、B群は不変。sCTxはP群で上昇、B群は低下。3)骨形成マーカー:BAPは両群とも変化なし。4)骨質マーカー:ホモシステインはP群のみ上昇。5)糖代謝:HbA1c、FPG、HOMA-IRは両群共に低下。6)体重は両群とも変化なし。7)多変量解析でホモシステイン変化率に影響を与えた因子はsNTx、BAP変化率。【結語】ピオグリタゾンとメトホルミンでは骨代謝動態に及ぼす作用に明らかな違いが認められ、前向き臨床研究においてピオグリタゾンが骨吸収促進、骨質悪化をきたすことが初めて明らかとなった。ヒトにおいてピオグリタゾンはPPAR-γ活性化によりc-fosを介して破骨細胞分化を誘導し、骨形成・骨吸収の骨代謝バランスを崩し、骨質の悪化をきたし骨折リスクを高める可能性が推測された。
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Research Products
(5 results)