2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規に同定したTEL-Lyn融合遺伝子による骨髄増殖性疾患発症機構の解析
Project/Area Number |
20591110
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中世古 知昭 Chiba University, 大学院・医学研究院, 講師 (30323398)
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Keywords | 慢性骨髄増殖性疾患 / 骨髄線維症 / TEL-Lyn / チロシンキナーゼ阻害剤 / 白血病 / STAT5 |
Research Abstract |
原発性骨髄線維症患者から新規に同定したTEL-Lyn融合遺伝子は、IL-3依存性であるBa/F3細胞に遺伝子導入すると、IL-3非依存性の自律的な増殖能をもたらし、さらにC57BL/6マウス骨髄造血幹細胞(HSC)(CD34-c-Kit+Sca-1+Lin- : CD34KSL)にTEL-Lyn融合遺伝子を導入するとサイトカイン無添加にても巨核球まで分化能を有するコロニーが形成されることを確認した。これらのTEL-Lyn融合遺伝子導入によるBa/F3細胞のIL-3非依存性増殖や、HSCのサイトカイン非依存性コロニー形成能は、imatinibによっては全く抑制されず、比較的低濃度のdasatinibで完全に抑制された。TEL-Lyn融合遺伝子を導入したBaF3細胞およびUT-7/TPO細胞では、STAT5の恒常的なリン酸化が認められた。さらに我々はTEL-Lyn融合遺伝子導入HSCを放射線照射したcongeneic mouseに移植した。これらのマウスは著明な好中球増加、肝脾腫、著しい骨髄の線維化が生じ、移植後50日までに全てのマウスが死亡した。しかし、STAT5 KOマウス胎児肝のc-kit陽性細胞に同様にTEL-Lyn融合遺伝子を導入すると、SCF、TPO非存在下のコロニー形成能は消失した。また放射線照射マウスへの移植では、6ヶ月の時点で骨髄線維症の発症は観察されず、TEL-Lyn融合遺伝子による骨髄線維症発症には、STAT5が必要であることが明らかとなった。そこで、TEL-Lyn融合遺伝子におけるLynキナーゼドメイン変異遺伝子を作成したところ、これらの活性化は認めなかった。免疫沈降にてTEL-Lyn融合蛋白にSTAT5蛋白が共沈することを確認した。
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