2010 Fiscal Year Annual Research Report
白血病発症におけるRUNX1遺伝子発現制御機構の解析
Project/Area Number |
20591114
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
迫江 公己 自治医科大学, 医学部, ポストドクター (10398505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (50186798)
桐戸 敬太 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90306150)
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Keywords | RUNX1 / 家族性血小板減少症 / 白血球 / 遺伝子変異 / 発現調節 |
Research Abstract |
白血病発症の機構解明を目的として、家族性血小板異常症(FPDMM)のY家系において認められたRUNX1遺伝子のプロモーター領域のrSNPとRUNX1遺伝子変異がタンパク発現と機能に及ぼす影響について検討した。rSNPは患者骨髄検体よりRNAを抽出し、RT-PCRにより遺伝子変異と同じアリル上にあることを確認したが、rSNPの有無によりRUNX1 mRNAの発現量は変化を認めなかった。また、luciferaseを用いてプロモーター活性を検討したが、rSNPの有無によるプロモーター活性に違いは認められなかった。患者骨髄由来細胞を用いたタンパク発現量の解析では、正常型のRUNX1タンパクの発現は認められたが、変異タンパクの発現は認められなかったことから、変異タンパタは転写後に分解されるか、タンパク構造の変化により核タンパク抽出後の不溶分画に移行していることが考えられた。エクソン8の変異を持つconstructはrSNPの有無にかかわらず野生型に比べてタンパク発現量が低いことから、フレームシフトにより正常型タンパクに無いリジン残基が新たに4カ所存在するため、ユビキチンにより変異タンパクが分解していると考えられた。4カ所のリジン残基のそれぞれにstop変異を導入し、長さの異なるconstructを作成し、293細胞に導入後のタンパク発現量を検討したところ、2つめのリジン残基を発現するconstructはタンパクの発現が認められた。これはリジン残基それぞれをアラニンに置換した変異体を用いた解析により3と4番目のリジンがRUNX1タンパクの発現量に関与していた結果と矛盾しなかった。さらに変異導入法によりY家系とは異なる既報のフレームシフト変異(AML型)を持つconstructを作成してタンパクの発現量と局在を解析したところ、AML型変異タンパクは核以外に細胞質にも局在し、ドミナントネガティブな機能を有することが考えられたが、野生型とY家系変異RUNX1タンパクは核に局在した。Y家系変異タンパクはタンパク分解系を阻害するMG132を添加することにより、NP-40に不溶の核分画に多く発現した。このことからY家系のRUNX1のフレームシフト変異は遺伝子産物か50%に減少するハプロ不全と考えられた。しかし、タンパク分解系の異常または、RUNX1遺伝子発現量の増加により、核内において分解されない異常タンパクが集積することによりRUNX1の転写機能に影響を与える可能性があり、今後Y家系における高率の白血病発症にハプロ不全が関与しているかどうかをRUNX1により転写される下流遣伝子の発現量の検討を行うことにより解析する必要がある。
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Research Products
(3 results)