2009 Fiscal Year Annual Research Report
単糖骨格由来合成化合物の造血器腫瘍治療薬開発に関する研究
Project/Area Number |
20591115
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 悟己 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 助教 (20377740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 孝明 浜松医科大学, がん教育研究センター, 特任助教 (40402276)
藤江 三千男 浜松医科大学, 実験実習機器センター, 技術専門職員 (90397373)
大西 一功 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (80252170)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 糖化合物 / 薬理学 / 蛋白質 |
Research Abstract |
[目的]リン糖の研究において、臭素を側鎖に添加させ、新規合成リン糖誘導体(TMPP)を合成した。これまでにTMPPの杭白血病効果を報告してきたが、今回、我々はドッキングシュミレーションを用いた標的分子の同定と抗白血病効果の作用機序を明らかにすることを目的とした。[方法]TMPPの細胞増殖抑制効果を種々の白血病細胞株を用いてIC_<50>で評価した。白血病細胞の細胞周期に与える効果とアポトーシス誘導効果をフローサイトメトリーにて解析した。細胞周期とアポトーシス関連蛋白質へ及ぼす効果をwestern blotにて評価した。白血病臨床検体と造血前駆細胞に及ぼす影響をcell viabilityにて評価した。白血病細胞における標的分子の同定のためにドッキングシュミレーションソフトを用いて解析した。[結果]平均IC_<50>が6.25nMであった。白血病細胞株U937細胞において、10nM処理16時間後より、G2/M期の分画の増加が認められ、G1期の分画の減少が認あられた。さらに、20nM処理40時間後には、90%程度がアポトーシスを起こしていた。また、10nMと20nMではFoxM1、Skp2、CDc25B、Cyclin D1、Survivin、KIS、Aurora Kinase Bは濃度依存的に発現低下が認められ、p27とp21の発現は濃度依存的に増加が認められた。また、bcl-2発現及びミトコンドリア膜電位についても濃度依存的に減少させた。TMPPが直接に影響する分子を同定するためにドッキングシュミレーションソフトを用い、ドッキング強度を、Udock[kcal/mol]値で表すと、Aurora-BとBcl-2はそれぞれ、-20.4と-15.3であり、TMPPの直接的な標的分子である可能性が示された。白血病患者由来白血病細胞(n=10)は4nMからcell viabilityの低下が認められ、正常造血前駆細胞への影響は軽度であった。[結語]TMPPの抗白血病効果はG2/M期での細胞周期停止とBcl-2とミトコンドリア膜電位低下によるアポトーシス誘導効果を介することが示された。また、ドッキングシュミレーションからAurora-kinase BとBcl-2への強い結合が明らかとなり、両者の結果に整合性が認められた。以上のことから、TMPPの抗白血病効果の作用経路と標的分子が明らかとなった。
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