2010 Fiscal Year Annual Research Report
単糖骨格由来合成化合物の造血器腫瘍治療薬開発に関する研究
Project/Area Number |
20591115
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 悟己 浜松医科大学, 医学部付属病院, 助教 (20377740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 孝明 浜松医科大学, がん教育センター, 助教 (40402276)
藤江 三千男 浜松医科大学, 実験実習機器センター, 技術専門職員 (90397373)
大西 一功 浜松医科大学, 医学部付属病院, 教授 (80252170)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 糖化合物 / 薬理学 / 蛋白質 |
Research Abstract |
[目的]前年度までのリン糖の研究において、臭素を側鎖に添加させ、新規合成リン糖誘導体(TMPP)を合成した。これまでにTMPPの抗白血病効果を報告し、ドッキングシュミレーションを用いた標的分子の同定と抗白血病効果の作用機序を明らかにした。以上の研究成果を基に本年度はさらに抗腫瘍活性の高い化合物の合成とマウスにおける白血病細胞移植実験を行い、その効果を検討することを目的とした。[方法]白血病細胞(K562細胞)をヌードマウスの背側に移植し、生着を確認後、TMPPを各種濃度にて、尾静脈より投与し、その後の腫瘍径やマウスの生存率を評価した。また、他の癌腫(肝癌細胞)をマウスに発がんさせた後に、同様にTMPPを投与して、その抗腫瘍効果や生存率も同時に評価した。また、リン糖からの新規派生合成化合物を合成し、その抗腫瘍効果を検討した。[結果]マウス尾静脈からTMPPを投与した結果、マウス血管内で静脈炎等が併発し、血栓形成傾向が認められたため、静脈投与からのTMPPの抗腫瘍効果については出来ませんでしたが、TMPPに暴露したK562細胞はマウス内での増殖は抑制され、生着は認められませんでした。また、TMPP合成過程において高濃度の合成を行えるようになったため、μM単位の濃度からnM単位の濃度での抗腫瘍効果を示すことができるようになりました。さらに、リン糖骨格における側鎖への結合物質をその他のハロゲン分子(ヨウ素)へ変更することにより、白血病細胞への抗腫瘍活性をもつ化合物の合成も行えました。[考察]TMPPの抗白血病効果はin vitroにおいては作用機序、標的分子も明らかにすることができましたが、in vivoにおいては血管内での凝固促進作用や炎症誘発作用が認められたため、TMPPの溶媒変更やより低濃度での抗腫瘍効果を今後評価していく必要があると考えられました。また、新たに合成した化合物についての抗腫瘍活性評価を今後継続していく必要があると考えられました。
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