2008 Fiscal Year Annual Research Report
原発性骨髄線維症に対する脂肪由来間葉系幹細胞を用いた細胞療法
Project/Area Number |
20591118
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 享之 Nagoya University, 医学部附属病院, 医員 (00456659)
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Keywords | 脂肪由来間葉系幹細胞 / 造血微小環境 / ケモカイン / 再生医学 / 細胞療法 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、原発性骨髄繊維症における破綻した造血微小環境を脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)を用いて再生させることであるが、病的状況下での応用を検討する前に正常状態下でADSCが造血微小環境を構築できるかを確認する必要がある。そこでADSCの造血支持能力を骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)とin vitro, in vivoで比較した。 ADSCは、C57/BL6マウスのinguinal fatから単離し、BMSCは骨髄有核細胞から樹立した。増殖能を比較したところ、ADSCはBMSCの約2倍の速度で増殖することが確認された。次に分化誘導能を共培養により検討した。ADSCは、BMSCと同じくCD34+PBSCを顆粒球に分化させたが,その細胞数は著増していた。メチルセルロース法によりprogenitorに対する影響を調べたところ、ADSCはBMSCよりも有意にCFU数が増加させた。分子学的な機序を解明するために造血に必須なケモカインであるstromal derived factor (SDF)-1に注目し、その分泌量を測定したところADSCは、BMSCの約8倍量を産生していることが判明した。そこでSDF-1-CXCR4 (SDF-1の特異的レセプター)の阻害薬を加えて共培養を行ったところ分化誘導能は有意に抑制されその重要性が確認された。マウスを使った移植実験では、ADSCはBMSCよりも速やかに造血を回復させることが判明した。生着に必要な血液幹細胞よりも少ない量を投与した場合でもレスキューすることが確認された。これはBMSCを投与した場合には認められなかった。long-term hematopoietic stem cellへの影響を検討した2次移植実験では、有害事象は認められなかった。 以上よりADSCは、BMSCよりも骨髄微小環境を再構築するために望ましい細胞ソースであることが確認された。
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Research Products
(2 results)