2010 Fiscal Year Annual Research Report
原発性骨髄線維症に対する脂肪由来間葉系幹細胞を用いた細胞療法
Project/Area Number |
20591118
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 享之 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00456659)
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Keywords | 脂肪由来間葉系幹細胞 / 造血微小環境 / ケモカイン / 再生医学 / 細胞療法 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、原発性骨髄繊維症における破綻した造血微小環境を脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)を用いて再生させることであるが、病的状況下での応用を検討する前に正常状態下でADSCが造血微小環境を構築できるかを確認する必要がある。前年度にマウスADSCの造血支持能力は、マウス骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)と比較してin vitro, in vivoともに優れていることを確認した。その安全性(急性毒性、腫瘍形成能)についても確認した。以上の成果は、Am J Pathol (2010, 177(2) : 547-54)に掲載された。次にヒトADSCとヒトBMSCを複数のボランティアから樹立し血液幹細胞支持能力を比較した。In vitro coculture assayでは、ヒトADSCは、ヒトBMSCよりも有意にCD33およびCD13の表面抗原形質をもつ顆粒球を増加させることが確認された。またsemisolidメチルセルロースを用いたprogenitor assayでも、ヒトADSCは、ヒトBMSCよりも有意にコロニー数を増加させた。NOD/SCIDマウスの脛骨にヒト佃SCおよびヒトBMSCを注入し安全性を確認したが、臓器障害は生じず腫瘍形成も認められなかった。ヒトADSCは、ヒトBMSCよりも増殖能が高いことを確認した。以上の成果は、Biochemical and Biophysical Research Communicationに投稿中である。上記によりヒトADSCは、ヒトBMSCと代替となるばかりでなく造血支持という観点からは優れた細胞ソースであると考えられた。
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