2008 Fiscal Year Annual Research Report
白血病におけるkpm(Lats2)発現異常の分子病態
Project/Area Number |
20591122
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
堀 利行 Ritsumeikan University, 生命科学部, 教授 (70243102)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 薬剤反応性 |
Research Abstract |
我々は、real-timePCR法によって様々な造血器腫瘍におけるkpm/Lats2の発現量を定量し、代表的な治療抵抗性腫瘍であるATLおよびNK cell leukemia/lymphomaでkpm/Lats2の発現低下を認めた。kpm/Lats2の発現低下による白血病細胞の性状変化を調べるために、siRNA発現レトロウイルスベクターを用いてKG-laとATL由来T細胞株ED-40515の2つの白血病細胞株よりkpm/Lats2をknock down(KD)した亜株を作成した。これらの細胞はコントロールベクターを導入した細胞に比較して、抗Fas抗体、adriamycin、etoposideに対して明らかな抵抗性を示した。Kpm/Lats2-KD細胞の詳細な解析により、これらの細胞では抗がん剤によるDNA傷害後のp73の核内集積とそれに続くPUMAとp21の発現誘導が起こらないことが判明した。ChIPアッセイでも、kpm/Lats2-KD細胞ではDNA傷害後のp73のPUMA遺伝子プロモーター領域への結合が低下していた。また、p73、kpm/Lats2、およびYorkieのヒト相同体であるYAP2の293T細胞への一過性発現系で、キナーゼ活性をもつ野生型Kpm/Lats2とYAP2を共存させるとp73の蛋白量が増加したが、キナーゼ活性欠失Kpm/Lats2またはアミノ酸127番のセリンをアラニンに置換したYAP2ではその効果が殆ど認められなかった。ChIPアッセイにおいて、コントロール細胞ではDNA傷害後のPUMAプロモーター領域へのp73の結合が認められたのに対して、Kpm/Lats2ノックダウン細胞では認められなかった。以上の結果から、抗がん剤によるDNA傷害後のp73の核内安定化とその下流のPUMAおよびp21の発現誘導にはKpm/Lats2によるYAP2の127番セリンのリン酸化が必要であり、Kpm/Lats2の発現低下が治療抵抗性の一因となることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)