2008 Fiscal Year Annual Research Report
発作性夜間血色素尿症に対するRNAアプタマーを用いた分子標的療法の開発
Project/Area Number |
20591123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 純一 Osaka University, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (80464246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
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Keywords | 発作性夜間血色素尿症 / RNAアプタマー / 補体 / 溶血 / SELEX |
Research Abstract |
補体阻害剤である抗マウスヒト化C5抗体(eculuzumab)が発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria: PNH)の溶血治療薬として欧米で承認され、補体阻害剤がPNH溶血の治療として有効であることが示された。しかしながら、C5は溶血のみならず、炎症反応の調節や生体防御反応に重要であり、長期にわたる抑制は感染症等の危険を伴う。1)PNH溶血ではCD59(C9を阻害)が重要であること、2)C1〜C8の先天性欠損症患者では免疫複合体病様症状や重症感染症を繰り返すのに対し、C9先天性欠損症患者は健常であること、3)C9欠損症を伴うPNH患者は、赤血球のほとんどがPNH血球であるにもからわらず溶血を伴わないことから、PNH溶血の治療にはC9あるいはC8を標的とするのが最適と考え、それらに結合し阻害活性を有するRNAアプタマーの開発をめざした。ヒトC8およびC9を標的に、アプタマーのスクリーニングシステム(SELEX)を用いてRNAアプタマーインヒビターの選別を開始した。解離定数(Kd)と結合能(Bmax)はニトロセルロース膜とナイロン膜を用いて確立した結合試験によって、溶血抑制活性は抗体付着ヒツジ赤血球を用いて確立した溶血試験によって測定した。C8アプタマーはSELEX4ラウンド後、2,0nMのKdと69%のBmaxを有し、既知のC5アプタマーと同等またはそれ以上の溶血抑制活性を認めた。C9アプタマーはSELEX16ラウンド後、12nMのKdと58%のBmaxを有し、既知のC5アプタマーと同等またはそれ以上の溶血抑制活性を認めた。十分な標的結合と溶血抑制活性が確認されたので、C8アプタマーSELEX4ラウンドプールとC9アプタマーSELEX16ラウンドプールの中から、最適クローンの選別を開始した。
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Research Products
(6 results)