2010 Fiscal Year Annual Research Report
発作性夜間血色素尿症に対するRNAアプタマーを用いた分子標的療法の開発
Project/Area Number |
20591123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 純一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80464246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
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Keywords | 発作性夜間ヘモグロビン尿症 / RNAアプタマー / 補体 / 溶血 / SELEX / C3b / オプソニン化 / 血管外溶血 |
Research Abstract |
PNHに対する安全で有効な治療法の確立をめざして、ヒトC8およびC9を標的にSELEX法を用いRNAアプタマーの選別を開始し、C8アプタマーはSELEX 4ラウンド後のC8-4-101クローンは15nMのKdと74%のBmaxを、C9アプタマーはSELEX 16ラウンド後のC9-16-8クローンは3nMのKdと67%のBmaxを有し、既知のC5アプタマーと同等またはそれ以上の溶血抑制活性を認めた。マウス補体成分(C8、C9)を用いて溶血試験を行い、これらのクローンのマウス成分に対する交叉反応性を調べたところ、C8-4-101クローンはマウス成分に対し交叉反応性を保持していたが、C9-16-8クローンにはなかった。C9アプタマー16ラウンド後プールよりマウス成分に対し交叉反応性を有するクローンの検索を行ったが、16ラウンド後プールの中に十分な結合活性ならびに溶血抑制活性を保持しつつ、マウス成分に対し交叉反応性を有するクローンは見いだせなかった。In vivo試験に向けて、co-variation解析に基づいた予測3次構造等からこれらのクローンの最小化と安定化をはかり、効率の最適化をすすめている。この領域の治療薬として、補体阻害剤ヒト化抗マウスC5抗体(エクリズマブ)が既に開発されているが、C3bによる赤血球膜のオプソニン化と血管外溶血の顕在化という新たな問題が発生し、十分な貧血の改善につながらない症例が報告されており、実際に7例のエクリズマブ投与中の患者においてC3bの蓄積を確認した。C8/C9を標的にアプタマークローンを選別し、溶血抑制活性を確認した。C5を標的とするよりC8/C9を標的にした方が感染症のリスクは軽減できると考えられるものの、補体終末成分を阻害するこれらの治療法では、最終的にC3bによる赤血球膜のオプソニン化と血管外溶血が顕在化することも判明した。
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Research Products
(13 results)