2008 Fiscal Year Annual Research Report
白血病幹細胞活性を規定するポリコーム遺伝子群の下流遺伝子解析と薬剤耐性機序の解析
Project/Area Number |
20591128
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三原 圭一朗 Hiroshima University, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (90363077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧原 義宏 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
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Keywords | BMI-1 / MDR |
Research Abstract |
ポリコーム遺伝子群の一つであるBMI-1蛋白は急性骨髄性白血病(AML)細胞をはじめとして悪性腫瘍で発現が増幅されており、細胞増殖・老化抑制・抗アポトーシス作用・分化抑制に寄与している。したがって、この蛋白は自己複製・細胞増殖のkey regulatorと想定される。臨床的にはBMI-1高発現芽球が増加すると治療抵抗性になることを観察し、BMI-1が細胞の増加ばかりでなく、薬剤の感受性にも関与していることも報告した。どのような契機により、BMI-1が高発現を呈するのか全く不明であり、この遺伝子が発現することによりなぜ薬剤耐性および予後不良になるのかも分子生物学的に明らかにされていない。本研究では疾患によるBMI-1蛋白発現の違い、BMI-1の高発現の機序、およびBMI-1の下流遺伝子、薬剤耐陸の機序も明らかにすることを試みる。 実際、CML患者の検体でイマチニブ使用前・使用後におけるBMI-1の発現の検討を行った。イマチニブ使用後、BMI-1の発現は有意に低下しているが、患者によりその発現の低下も様々であった。この違いを検討することは治療効果・予後などを考える上で非常に興味深く、臨床的にも大いに意義があると考えられる。 平成20年度血液悪性腫瘍細胞株を用いたBMI-1高発現とその下流遺伝子、多剤耐性の解析 リンパ球系細胞株、骨髄球系細胞株にBMI-1を高発現させ、抗癌剤に対する反応性を解析した。BMI-1高発現細胞株はCML細胞株ではイマチニブの反応性が低下し、また、細胞株の種類により、BMI-1高発現群ではVP-16による抗腫瘍効果の低下が認められる傾向にあった。現在、gene tipを用い、抗アポトーシス作用を及ぼしている遺伝子を解析中である。BMI-1蛋白の下流の遺伝子およびMDR-1に代表される治療抵抗性遺伝子についてCML、MDS、AML、急性リンパ性白血病・悪性リンパ腫なども含め血液悪性腫瘍患者由来の細胞で、その発現・機能を検討し、BMI-1の発現の増減を機能的側面からも検討したデータは存在せず、画期的な研究であるといえる。
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