2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫細胞における恒常的NF-kB活性を抑制するPPARの作用機序の解明
Project/Area Number |
20591129
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大津山 賢一郎 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (10432741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 道生 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40161343)
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Keywords | NF-kB / PPAR / 多発性骨髄腫 / CD54 |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は根治治療困難な造血器腫瘍である。骨髄腫細胞はB細胞の最終分化形である形質細胞が、単クローン性に増殖する腫瘍細胞である。多くのがん細胞において、転写因子であるNF-kBがその生存や増殖に深く関わっていることが考えられている。一方、基質依存的な核内ホルモン受容体の多くは転写因子であり、細胞のホメオスタシスに深く関わっている。その中にPPARがあり、3つのファミリーがある。 骨髄腫細胞ではPPARbとPPARg1の発現があり、そのうちPPARbはユビキタスに発現している。PPARは転写因子であると同時に、NF-kB活性を直接作用して抑制することが可能である。したがって、この研究は骨髄腫細胞の生存および増殖を抑制するメカニズムを解明することに主眼を置いている。 PPARbのアゴニストカルバサイクリンで刺激すると、骨髄腫細胞株U266、AMO1、ILKM2、ILKM8の増殖が抑制され、さらに患者検体では正常骨髄形質細胞は生存が見られるが、患者骨髄腫細胞はアポトーシスを起こしていた。PPARbとNF-kBの相互作用はこれまでに報告しているが、PPARのコ・アクティベーターであるPGC-1に今回着目した。これはPPARgとNF-kBファミリーであるRelA/p65との相互作用の解析においてPGC-1もRelA/p65との相互作用がみられることが報告されている。 骨髄腫細胞株U266にカルバサイクリンで刺激すると、NF-kBファミリーであるNF-kB1/p50、NF-kB2/p52、RelBとPPARbおよびPGC-1が相互作用していることが示唆された。 今後の展開として、PPARbやPGC-1を欠損させることにより、その相互作用にどのような意義があるのかを探る予定である。
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