2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフト構造を標的とした多発性骨髄腫の新規治療法の開発
Project/Area Number |
20591130
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
尾崎 修治 The University of Tokushima, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90314872)
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Keywords | 造血器腫瘍 / 多発性骨髄腫 / 脂質ラフト / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は現在も難治性の造血器腫瘍であり,新しい治療戦略の開発が求められている。本研究では骨髄腫細胞に特異的に高発現しているHM1.24およびHM1.27に着目し,本分子に対する新規モノクローナル抗体が脂質ラフト構造や細胞膜に及ぼす影響について検討するとともに,新たな治療標的を探索することを目的とした。本年度は,まず,HM1.24抗体とHM1.27抗体の作用の相違について検討した。その結果,HM1.27抗体はより高度の細胞傷害活性を有することが明らかとなった。次に,蛍光顕微鏡下に蛍光標識した抗体の局在をタイムラプス解析したところ,HM1.27抗体は骨髄腫細胞に特異的に結合した後,30-60分で細胞膜上にキャッピング構造を形成することが確認された。この状態における各種サイトカインのシグナル伝達について検討を加えたところ,骨髄腫細胞の生存シグナルであるIL-6やIGF-1の下流の経路には影響を及ぼさないことが明らかとなった。さらに,Ras/MAPKやPI3K/Akt,Wnt/b-cateninなどの経路についても現在検討を進めている。このように,HM1.27抗体は高度の細胞膜の構造変化を誘導することから,骨髄腫細胞の脂質ラフト構造やその下流の生存シグナルの制御にも関与しているものと考えられ,多発性骨髄腫に対する新しいターゲティング療法の標的分子として重要である可能性が示唆された。
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