2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフト構造を標的とした多発性骨髄腫の新規治療法の開発
Project/Area Number |
20591130
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
尾崎 修治 The University of Tokushima, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90314872)
|
Keywords | 造血器腫瘍 / 多発性骨髄腫 / 脂質ラフト / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は現在も難治性の造血器腫瘍であり,新しい治療戦略の開発が求められている。本研究では骨髄腫細胞に特異的に高発現しているHM1.24およびHM1.27に着目し,本分子を認識する新規モノクローナル抗体の脂質ラフト構造や細胞膜に及ぼす影響について検討した。昨年までの研究において,HM1.27抗体は骨髄腫細胞に特異的に結合し,細胞膜上の脂質ラフトに構造変化を及ぼすとともに,著明な細胞死を誘導することを明らかにした。さらに,この状態においてはIL-6やIGF-1などのサイトカインシグナル伝達やRas/MAPK,PI3K/Akt,wnt/b-cateninなど骨髄腫細胞の生存に重要な経路は抑制されないが,抗がん剤の抗腫瘍活性を増強させることを見いだした。一方,メルファランやボルテゾミブは主にmain population分画の骨髄腫細胞に細胞障害作用を発揮するが,HM1.27抗体は薬剤抵抗性のside population分画の細胞に作用し,細胞障害やコロニー形成阻害を誘導することを明らかにした。このように,HM1.27抗体はその作用機序からABCトランスポーターの影響を受けることなく骨髄腫幹細胞にも作用するものと考えられ,多発性骨髄腫に対する新しいターゲティング療法の標的分子として重要である可能性が示唆された。今後は骨髄腫幹細胞を用いてHM1.27抗体による遺伝子発現の変化を検討し,HM1.27抗体の作用機序の解明をさらに進める予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
Ozaki S
-
Journal Title
Biologic therapies for multiple myeloma and plasma cell disorders. Emerging Protein Biotherapeutics(CRC Press)
Pages: 267-279
-