2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフト構造を標的とした多発性骨髄腫の新規治療法の開発
Project/Area Number |
20591130
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
尾崎 修治 徳島大学, 病院, 講師 (90314872)
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Keywords | 造血器腫瘍 / 多発性骨髄腫 / 脂質ラフト / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は難治性の造血器腫瘍であり,治癒を目指した新しい治療戦略の開発が求められている。本研究では,昨年までに骨髄腫細胞に特異的に高発現しているHM1.24およびHM1.27を認識する新規モノクローナル抗体が骨髄腫細胞膜上の脂質ラフト構造の変化を引き起こし,細胞障害を誘導することを明らかにした。本年度は骨髄腫幹細胞に着目し,.その生存・増殖に及ぼす影響について検討を加えた。Hoechst33342染色後にセルソーターを用い,骨髄腫細胞株のside population分画とmain population分画を純化した。幹細胞性の維持に重要な転写因子の発現の有無についてPCR法で確認したところ,side population分画細胞ではSOX2やOct3/4の発現が亢進していることが明らかとなった。また,HM1.27抗体の処理後では,これらの転写因子の発現は抑制された。さらに,幹細胞性の維持に関わるWnt/b-cateninシグナル経路について検討したところ,HM1.27抗体の処理後には,細胞内の活性型b-cateninが抑制された。このことから,HM1.27抗体は薬剤抵抗性のside population分画の細胞の脂質ラフト構造に作用し,b-cateninやSOX2,Oct3/4を抑制することにより,骨髄腫幹細胞を傷害する可能性が考えられた。このような抗体療法は多発性骨髄腫に対する新しいターゲティング療法として臨床的にも重要である可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)