2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591136
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
麻生 範雄 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50175171)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 予後予測因子 / 遺伝子変異 / 染色体異常 / 正常染色体 / 同種造血幹細胞移植 / チロシンキナーゼ / ヌクレオフォスミン |
Research Abstract |
本研究は日本成人で最も多い急性骨髄性白血病症例における遺伝子変異の予後予測因子としての有用性を確立することを目的としている。急性骨髄性白血病の治療反応性は病型により異なり、年齢と染色体異常が最も大きな予後因子である。しかし、予後中間群の治療反応性には種々混在し、とくに全体の40%強を占める正常染色体例の予後の幅は広い。臨床的な治療方針、例えば同種造血幹細胞移植の適応の決定に当たっては予後予測は不可欠である。近年、急性骨髄性白血病において受容体型チロシンキナーゼFLT3やヌクレオフォスミンNPM1などの遺伝子変異と予後との関係が明らかにされつつある。本年度は146例の急性骨髄性白血病例の遺伝子変異の有無を網羅的に解析し、予後因子としての有用性を検討した。その結果、FLT3-ITDを27例、FLT3-TKD変異を10例、NPM1変異を33例、CEBPA変異を17例、WT1変異を7例、JAK2変異を2例に認めた。146例中45%にこれらの遺伝子変異を認めた。正常染色体例53例では75%に遺伝子変異を認めた。正常染色体例において、CEBPAとNPM1変異例の全生存率はFLT3-ITD陽性例と比較して有意に良好であった。また、遺伝子変異を認めない群の全生存率はFLT3-ITD陽性例と同様不良であった。これらの結果から、正常染色体例において遺伝子変異の検索は予後予測に有効であることが証明された。遺伝子変異を認めない群の予後が不良であることから、未知の遺伝子変異の探索が重要であることも示唆された。現在、さらに症例を追加して予後との関係を検索中である。さらに、未知の遺伝子異常の解析を進めている。
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