2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591136
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
麻生 範雄 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (50175171)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 予後予測因子 / 遺伝子変異 / 染色体異常 / 転写因子 / FLT3 / CEBPA / 家族性白血病 |
Research Abstract |
急性骨髄性白血病は染色体転座や遺伝子変異などによる複数の遺伝子異常を基盤に発症し、それぞれ病態や治療反応性が異なることが明らかにされつつある、しかし、まだ遺伝子異常が明らかでない病型も多く、その検索は重要な課題である。本年度は昨年度に引き続き、自施設の急性骨髄性白血病症例146例におけるFLT3、CEBPA、NPM1、WT1およびJAK2遺伝子変異を検索し、その組み合わせが予後予測に有用であることを示した。FLT3-ITDを27例(18%)、FLT3-TKDを10例(7%)、NPM1変異を33例(23%)、CEBPA変異を17例(12%)、WT1変異を7例(5%)およびJAK2変異を2例(1%)に認めた。FLT3-ITDとNPM1変異は重複例が多く、全体では45%にこれらの遺伝子変異を認めた。正常核型急性骨髄性白血病の53例では75%に遺伝子変異が認められた。正常核型急性骨髄性白血病においては肌T3-ITD陽性例とともに遺伝子変異を認めない症例群の予後が不良であった。さらに、これらの既知の遺伝子変異がない症例群において新しい転写因子の欠失による遺伝子変異を同定した。この遺伝子をHela細胞へ導入したところ、野生型では増殖抑制を来すのに対し、変異型では増殖亢進を示した。また、CEBPA遺伝子変異を認める家族性急性骨髄性白血病例を見いだした。家族内で共通のN端変異と異なるC端変異を認め、N端変異は対立遺伝子のC端変異を促進して発症に至ることが強く示唆された。今後はこれらの知見を同一治療プロトコール登録例の検体を用いて検証し、予後予測因子としての意義を確立する。
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