2009 Fiscal Year Annual Research Report
真性多血症、本態性血小板増多症発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
20591137
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
下田 和哉 University of Miyazaki, 医学部, 教授 (90311844)
|
Keywords | JAK2 / 真性多血症 / 本態性血小板血症 |
Research Abstract |
骨髄増殖性腫瘍である真性多血症の90%以上、本態性血小板血症の50%以上に、サイトカインのシグナル伝達に必須なキナーゼであるJAK2の遺伝子変異が認められる。変異JAK2がこれらの病態に及ぼす影響を個体レベルで明らかにする目的で、H2Kをプロモーターとして造血幹細胞レベルで変異JAK2を発現するトランスジェニックマウスを作成した。変異JAK2発現マウスのうち、約20%は真性多血症様の病態を、約30%は本態性血小板増多症類似の病態を呈し、併せると50%弱のマウスが骨髄増殖性腫瘍を発症した。残りの50%のマウスでは、白血球の増加は認めるものの、赤血球、血小板数は正常であった。同一遺伝子異常を有するにも関わらず増加する血球の系列が異なる理由を明らかにする目的で、真性多血症マウス、本態性血小板血症マウス、好中球増殖マウスの変異JAK2発現量を比較すると、真性多血症マウスでは、本態性血小板血症マウス、好中球増殖マウスと比較し、有意に変異JAK2の発現量が増加していた。さらに、全てのマウスにおいて、Hb値と変異JAK2発現量の間には中等度の正の相関が認められた。つまり、JAK2遺伝子変異という一種類の遺伝子変異により、類縁疾患とはいえ異なる疾患単位と考えられている真性多血症、本態性血小板血症が発症するメカニズムの一つとして、変異JAK2発現量の違いが増加する血球系列を規定している可能性を明らかにした。
|
Research Products
(5 results)