2008 Fiscal Year Annual Research Report
アントラサイクリン誘起心毒性に対するカルノシン酸による保護作用の基礎的研究
Project/Area Number |
20591138
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石田 陽治 Iwate Medical University, 医学部, 教授 (70151389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 拓己 岩手大学, 工学部, 准教授 (10300831)
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Keywords | カルノシン酸 / アントラサイクリン / 心筋細胞 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
【研究目的】カルノシン酸(CA)による抗酸化作用の基礎的研究。 【研究方法】マウス心筋細胞株HL-1とコントロールとして肝がん細胞株HepG2とを用いて以下の検討らを行った。 (1)カルノシン酸(CA)が酸化的ストレスを防御できるか否か。 HepG2にCA(0,10,20,30μM)を添加して24,48時間培養した。アセトアミノフェン(AA)(0〜50mM)を添加し、24時間後にMTTアッセイにて生存率を測定した。24時間のCA添加では生存率では有意な差異は認められなかったが、48時間添加でAA25mMにおいての生存率は0,10,20,30μMでそれぞれ43.8%,55,3%,65.0%,80.0%であった。同様な実験をHL-1細胞を使って施行したところ、CA10,20,30μMでは有意に生存率が低下した。5μMでは0μMとかわらず、0.5μMでは有意に生存率が増加した(0μM:77.0%vsO.5μM:87.0%)。心筋細胞ではCA低濃度では有意に生存率を増加させるものの、肝細胞では高濃度のCAが必要であった。 (2)カルノシン酸がPhaseII酵素の発現を高めるか否か。 HL-1細胞をCAO.5μMと24時間培養してRNAを抽出後、PhaseII酵素の発現をPCR法で検討したと.ころ、発現の増強を認めた。HepG2細胞に比べ、刺激前の発現量は低下していた。 これらのことから、心筋細胞のPhase II酵素の発現が低下していることで、心筋細胞は酸化的ストレスに危弱性があるものと思われる。CAを低濃度使用することで、アントラサイクリン系抗がん剤などによる酸化的ストレスから心筋細胞を保護する可能性が期待される。
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