2009 Fiscal Year Annual Research Report
アントラサイクリン誘起心毒性に対するカルノシン酸による保護作用の基礎的研究
Project/Area Number |
20591138
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石田 陽治 Iwate Medical University, 医学部, 教授 (70151389)
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Keywords | アントラサイクリン / 心筋障害 / カルノシン酸 / 抗酸化作用 |
Research Abstract |
マウス心筋細胞株(HL-1)を用いて、カルノシン酸(CA)の抗酸化作用の有効性を検討した。陽性コントロールとして、マウス肝細胞細胞株(Hepa1-6,NCTC1498)を用いた。細胞株にCAを添加して24時間培養後、アセトアミノフェン(AA)を加えてさらに24時間培養した。MTT法を用いて生存率を測定した。 HL-1においては、CA非存在下ではAAの酸化作用により、AA 0μM 100%とすると、AA 0.78mM 86.4%、1.56mM 82.9%、3.13mM 73.1%、6.25mM 59.1%と生存率の低下をみたが、CA 1.0μM存在下ではそれぞれ96.1%、93.8%、82.4%、65.7%と生存率の低下が軽度であった。Hepa1-6においては、CA非存在下ではAAの酸化作用により、AA 1.56mM 89.6%、3.13mM 85.26%、6.25mM 85.9%、12.5mM 78.4%と生存率の低下をみたが、CA 2.5μM存在下ではそれぞれ99.3%、98.2%、94.8%、86.9%と生存率の低下が軽度であった。NCTC1498においてもCA非存在下では、AA 0.39mM、0.78mM、1.56mMでは、生存率がそれぞれ72.1%、47.5%、35.4%であったが、CA 10μM存在下ではそれぞれ94.2%、58.1%、39.8%であった。これらから、マウス心筋細胞はCA濃度が0.5~1.0μM存在下で抗酸化作用を示したのに対し、肝細胞では、CA濃度が2.5~10μMが必要であった。AAの酸化作用はphase II enzymeによって酸化中和作用をもたらすので、これらの細胞株のphase II enzymesの発現をRT-PCR法によって定量した。さらにCA存在下で培養し同様な方法でphase II enzymesの発現を定量した。Phase II enzymesとして、NQO-1,GCL-h,GST-Ya,HO-1を用いた。内部標準としてGAPDH,Cycrophyを用いた。HL-1ならびにNCTC1469細胞はCA添加(0.5,5μM)前後ではphase II enzymesの発現に差異は認められなかった。これらの結果により、CA添加により、AAの酸化作用を軽減したのは、phase II enzymesの発現によらない可能性が示された。
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