2010 Fiscal Year Annual Research Report
アントラサイクリン誘起心毒性に対するカルノシン酸による保護作用の基礎的研究
Project/Area Number |
20591138
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石田 陽治 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70151389)
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Keywords | 心筋障害 / カルノシン酸 / 抗酸化作用 |
Research Abstract |
マウス心筋細胞株(HL-1)を用いて、カルノシン酸(CA)の抗酸化作用の機序を検討した。陽性コントロールとして、マウス肝細胞細胞株(NCTC1498)を用いた。細胞株にCAを添加して24時間培養後、アセトアミノフェン(AA)を加えてさらに24時間培養した。MTT法を用いて生存率を測定した。HL-1細胞では、CA濃度が2.5μMで最大の抗酸化作用(AA1.56mMでCAOμM:生存率82.9%に対してCAlμM:生存率93.8%)を示したので、以後この濃度を用いた。NCTC1498細胞ではCA濃度5μM(AA0.39mMでCAOμM:生存率69.4%に対してCA10μM:生存率104.4%)を用いた。 HL-1をCA0.5μM存在下で、NCTC1498細胞をCA5μM存在下で24、48時間培養し、細胞を採取後、mRNAを抽出した。マウスのPhase II酵素であるNQO-l, GCL-h, GST-Ya, HQ-ln、内部標準遺伝子としてマウスGAPDHとマウスCycrophyのプライマーを用いて、ライトサイクラーによる定量的RT-PCRを施行した。24時間、48時間培養後のNQO-1/GAPDH、NQO-1/Cycrophy、GCL-h/GAPDH、GCL-h/Cycrophy、GST-Ya/GADPH、GST-Ya/Cycrophy、HO-1/GAPDH、HO-1/Cycrophyを定量した。HL-1においては、前の発現量はそれぞれ1.23,1,25、1.59,1.63、1.63,1.67、1.69、1.73、24時間後の発現量はそれぞれ1,26,1.28、1.64,1.65、1.73,1.75、1.83、1.85、48時間後の発現量はそれぞれ1.26,1.27、1.55,1.57、-,-、1.38,1.39と前、24時間後、48時間後とほとんど変化しなかった。NCTC1498においてもその発現量に有意な差を認めなかった。 これらの結果から、心筋細胞株、肝癌細胞株においては、カルノシン酸によるPhase II酵素が発現されないことが明らかとなった。カルノシン酸が抗酸化作用を呈するのはこの機序でない可能性が強く示唆された。
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