腫瘍-腫瘍血管を標的とした熱ショック蛋白・樹状細胞治療による白血病免疫回避の克服

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20591143
• Research Institution: Asahikawa Medical College
• Principal Investigator: 佐藤 一也 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50360988)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 水上 裕輔 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30400089) ; 大竹 孝明 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10359490) ; 生田 克哉 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00396376)
• Keywords: 腫瘍血管内皮 / 熱ショック蛋白(HSP) / VEGF / 白血病特異免疫 / hTERT / 細胞不死化 / 腫瘍血管新生 / IGF

Research Abstract

造血器腫瘍を初めとする各種がん組織における腫瘍血管新生の重要性が報告され、腫瘍血管特異的抗原も同定されている。申請者らはB細胞白血病(A20)マウスに対して熱ショック蛋白(HSP)やDCとの併用により白血病特異的な細胞性免疫(Iuchi Y, Sato K et al. Int J Hematol, 2006,)や液性免疫(Jimbo J, Sato K Ikuta K, et al. Cancer Sci. 2008)を有効かつ安全に誘導する画期的な治療法を開発中であるが、この基盤技術を応用し、腫瘍血管抗原を標的とした免疫療法の併用により、難治白血病の克服を目指すための検討を行った。
血管内皮マーカーであるCD31染色を用いて、A20マウスの腫瘍周辺に微細な腫瘍血管の発現が見られることを確認した。今後、腫瘍血管内皮細胞(EC)での発現亢進が報告されているVEGFR、bFGFR2、DELTA4等における発現も免疫染色で検討する予定である。また、GFP導入のためのレトロウイルスを作成しA20細胞への導入を試み、GFP遺伝子導入ができることを確認した。A20細胞を作成し、A20腫瘍組織からGFP陰性分画をソーティングし、さらにCD31抗体を用いて腫瘍ECの分離を試みたが十分なECの回収はならなかった。ここで、マウスB細胞腫瘍におけるより有用な腫瘍血管内皮抗原の情報を還元するため、ヒトのB細胞腫瘍の一つで、腫瘍血管増生を認める疾患として知られているPOEMS症候群の孤立性plasmacytomaに関して、各種血管新生因子を免疫染色し、VEGFやIGFの発現が極めて亢進していることを示した(Shindo M, Sato K, et al Int J Hematolol, 2011. In press).これらの知見を参考とし、現在VEGFやIGF抗体等を用いてマウスB細胞腫瘍における血管内皮細胞を分離する事を計画している。
なお効率よくマウス腫瘍内皮細胞への腫瘍免疫を誘導に際し、分離したECを大量に得るためにteromerase reverse transcriptase遺伝子(hTERT : 2909-6362)を含むプラスミドベクターを作成した。A20腫瘍組織からECの抽出がなされれば、それを遺伝子導入して細胞不死化・増殖を試み、腫瘍EC由来のHSP70を精製することを計画しており、現在標的細胞等への導入を試みている。現在マウスB細胞腫瘍からの腫瘍ECの分離が進行中であるが、腫瘍血管増生がより期待できる固形腫瘍でも検討を行い、腫瘍EC由来のHSPを用いた新規免疫療法への開発へとつなげたい。

Research Products

• [Journal Article] Loss of ABCB7 gene : pathogenesis of mitochondrial iron accumulation in erythro blasts in refractory anemia with ringed sideroblast with isodicentric(X)(q13). (2011)
  • Author(s): Sato K, Torimoto Y, Hosoki T Ikuta K, Takahashi H, Yamamoto M, Ito S, Okamura N, Ichiki K, Tanaka H, Shindo M, Hirai K, Mizukami Y, Otake T, Fujiya M, Sasaki K, Kohgo Y
  • Journal Title: International Journal of Hematology Volume: 93 Pages: 311-318
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Development of POEMS Syndrome after an Initial Manifestation of Solitary Plas macytoma (2011)
  • Author(s): Motohiro Shindo, Kazuya Sato, Masayo Yamamoto, Yasumichi Toki, Mayumi Hatayama, Satoshi Ito, Kazuhiko Ichiki, Naoka Okamura, Takaaki Hosoki, Katsuya Ikuta, Junki Inamura, Shinji Watanabe, Yoshihiro Torimoto, Yutaka Kohgo
  • Journal Title: International Journal of Hematology Volume: (in press)
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Transplanting normal vascular proangiogenic cells to tumor-bearing mice triggers vascular remodeling and reduces hypoxia in tumors. (2010)
  • Author(s): Sasajima J, Mizukami Y, Sugiyama Y, Nakamura K, Kawamoto T, Koizumi K, Fujii R, Motomura W, Sato K, Suzuki Y, Tanno S,Fujiya M, Sasaki K, Shimizu N, Karasaki H, Kono T, Kawabe J, Ii M, Yoshiara H, Kamiyama N, Ashida T, Bardeesy N, Chung DC, Kohgo Y.
  • Journal Title: Cancer Res. Volume: 70 Pages: 6283-6292
  • Peer Reviewed