2008 Fiscal Year Annual Research Report
臍帯血移植後の移植片対白血病効果誘導を目的とした腫瘍関連抗原ワクチン療法の開発
Project/Area Number |
20591146
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
近藤 恭夫 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (10322116)
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Keywords | 癌 / 白血病 / 腫瘍関連抗原 / ワクチン療法 / 臍帯血移植 / 樹状細胞 / GITRL / GVL効果 |
Research Abstract |
Cyclin dependent kinase 2 (CDK2)由来HLA-A^*2402拘束性の2つの9merペプチド(CDK2_<158>, CDK2_<178>)は我々が新たに同定した腫瘍関連抗原である.臍帯血移植(UCBT)後にCDK2由来ペプチド特異的細胞傷害性T細胞(CDK2-CTL)を効果的に誘導することによるUCBT後の再発予防法の開発を進めている.白血病患者の末梢血中には白血病細胞由来樹状細胞(LDC)が検出されるが,我々のこれまでの検討では同種造血幹細胞移植前に残存するLDCが移植後CDK2-CTLの誘導に関与していることが示唆されている.18例中4例(CML-CP,AML-M4,AML-M5, Ph^+AML 1 例ずつ)の白血病患者の末梢血中にLDCが検出された(全白血球数の2.13〜5.44%).HLA-A^*2402陽性AML-M4患者の末梢血から純化後にTNFα刺激によって成熟分化させたLDCとの共培養前後で,同じ患者由来CD8^+T細胞中にはマルチマー陽性細胞が検出されなかったが,HLA-A24陽性健常者CD8^+T細胞中には共培養後CDK2_<158>/A24マルチマー,CDK2_<178>/A24マルチマー陽性細胞がそれぞれ2.3%, 5.7%検出された.健常者CD8^+T細胞から誘導されたCTLは,ペプチドを添加していないHLA-A2402遺伝子導入T2細胞(A24-T2)に反応して0.5%のみがIFNγを産生したのに対し,CDK2_<158>, CDK2_<178>を添加したA24-T2にはそれぞれ2.3%, 1.6%が反応してIFNγを産生したことからCTLの抗原特異性が確認された.一方,成熟分化したAML-M4由来LDCには補助シグナル分子Glucocorticoid-induced TNFR-related protein (GITR)のリガンド(GITRL)が検出された.ヒトT細胞でGITRの役割は明らかにされていないが,NK細胞ではGITR-GITRL結合を介して細胞傷害活性が抑制される.LDCでHLA-A24陽性健常者ナイーヴCD8^+T細胞を刺激する際に抗GITR抗体を添加してGITR-GITRL結合を阻害すると,抗GITR抗体を添加しなかたった場合に比べてCDK2-CTLの誘導が増強されたことから(CDK2_<158>/A24マルチマー;0.37%→1.17%,CDK2_<178>/A24マルチマー;0.45%→1.64%),LDC上のGITRLはCTLのプライミングを阻害していた.同じAML-M4由来LDCでHLA-A*2402陽性UCB由来ナイーヴCD8^+T細胞を抗GITR抗体の存在下で繰り返し刺激したところ同程度にCDK2-CTLの誘導がマルチマー解析で確認されたことから(CDK2_<158>; 1.52%, CDK2_<178>; 1.83%), UCBT後に抗GITR抗体を投与してすることによって効果的にCDK2-CTLを誘導できる可能性が示唆された.
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Research Products
(4 results)