Research Abstract |
Cyclin dependent kinase 2(CDK2)由来HLA-A*2402拘束性の2つの9merペプチド(CDK2_<158>,CDK2_<178>)は我々が同定した腫瘍関連抗原である.これまで我々は,白血病細胞由来樹状細胞に発現する抑制性補助刺激分子Glucocorticoid-induced TNFR-related protein(GITR)のリガンド(GITRL)が,健常ドナーのナイーブCD8^+T細胞からCDK2ペプチド特異的細胞傷害性T細胞(CDK2-CTL)の誘導を阻害することを明らかにしている.臍帯血移植(UCBT)後にCDK2-CTLを効果的に誘導する移植後白血病再発予防法の開発を目的として,GITRLによるCTL抑制のメカニズムを検討した.骨髄性白血病患者18例中9例の診断時白血病細胞上にGITRLの発現が認められ,初診時血清および単球性白血病細胞株THP-1細胞上清中には健常人血清に比べて高濃度の可溶性GITRL(sGITRL)が検出された[白血病患者0.31(0.10-0.76)ng/ml,THP-1 0.52ng/ml,健常人0.21(0.14-0.25)ng/ml].汎T細胞,CD4^+T細胞,CD8^+T細胞はTHP-1細胞上清中でCD3/CD28刺激後の増殖が45.0%,36.4%,34.2%抑制されたが,抗GITR抗体でGITR/GITRL結合を阻害すると増殖が回復した.また,THP-1由来exosome上にはGITRLが検出され,純化GITRL^+esoxomeは濃度依存性にT細胞の増殖を抑制したことから,白血病細胞由来のsGITRLとGITRL^+esoxomeがCTL活性を抑制することが示唆された.トリプトファン(try)代謝酵素であるインドールアミン酸素添加酵素(IDO)は免疫寛容を誘導する.THP-1および骨髄性白血病患者5例の診断時白血病細胞にsGITR-Fcを添加し,細胞表面上のGITRLと結合させると培養上清中にtryの代謝産物キヌレニン(kyn)が検出され,sGITR-Fcと伴にIDO抑制剤1-メチルートリプトファン(1MT)を添加するとkyn産生が抑制された(THP-1,sGITR-Fc;8.6μM,GITR-Fc+1MT;1.0μM,p<0.05).KynはT細胞の増殖活性を濃度依存性に抑制したことから,GITR/GITRL結合によってIDO活性が高まったGITRL^+白血病細胞から細胞外に分泌されるkynによって,CDK2-CTLの活性化が阻害される可能性が示唆された.UCBT後にCDK2ペプチドをワクチンする際,抗GITR抗体とIDO阻害剤を投与することによって効果的にCDK2-CTLを誘導できる可能性がある.
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