2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群にともなう血栓症発症の分子病態の解明とその制御
Project/Area Number |
20591148
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 晃士 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90362251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
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Keywords | 血栓症 / 高血圧 / 肥満 / 糖尿病 / ストレス / 脂肪細胞 / サイトカイン / 線溶 |
Research Abstract |
前年度までの研究で、メタボリック症候群のモデルマウスと考えられる遺伝的肥満マウス(ob/obmouse)の脂肪組織では、血栓溶解阻害因子であるプラスミノーゲン・アクチベーター・インヒビター-1(plasminogen activator inhibitor-1 : PAI-1)の発現レベルが高いことが確認されている。今年度は、肥満マウスおよび対照マウス(ob/mouse)それぞれから内臓脂肪組織を取り出して培養し、培養液にインスリンを添加して脂肪細胞が産生するPAI-1発現がどう変化するか、ELISA法およびreal time RT-PCR法によって定量的解析を行った。インスリン刺激4時間後において、肥満マウス由来の脂肪細胞では対照マウス由来のそれに比して、有意に高いレベルのPAI-1 mRNAを発現していた。この結果より、インスリン抵抗性を獲得していると考えられる肥満個体での脂肪組織では、インスリン刺激によってさらなるPAI-1発現亢進をきたすことが確認され、耐糖能の低下が進んでインスリン分泌過剰状態が続くと、脂肪由来のPAI-1発現も増加を続け、結果として易血栓性が増大する可能性が示唆された。また、これらの培養脂肪細胞にインスリンに加えて抗TNF-α抗体を与えると、前述のインスリン刺激によるPAI-1発現亢進の程度が50%ほど抑制された。したがって、インスリンによる脂肪組織でのPAI-1発現亢進には、内因性メディエーターとしてTNF-aが強く関与していると考えられた。以上より、メタボリック症候群/肥満個体におけるインスリン抵抗性と向血栓性ポテンシャル増大の背景には、脂肪細胞における持続的なPAI-1発現亢進状態が存在すると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A novel splice site mutation in intron C of PROS1 leads to markedly reduced mutant mRNA level, absence of thrombin-sensitive region, and impaired secretion and cofactor activity of mutant protein S.2010
Author(s)
Okada H, Kunishima S, Hamaguchi M, Takagi A, Yamamoto K, Takamatsu J, Matsushita T, Saito H, Kojima T, Yamazaki T.
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Journal Title
Thrombosis Research
Volume: 125
Pages: e246-e250
Peer Reviewed
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[Journal Article] Severe hemophilia A in a Japanese female caused by an F8-intron 22 inversion associated with skewed X chromosome inactivation.2010
Author(s)
Miyawaki Y, Suzuki A, Fujimori Y, Takagi A, Murate T, Suzuki N, Katsumi A, Naoe T, Yamamoto K, Matsushita T, Takamatsu J, Kojima T.
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Journal Title
International Journal of Hematology
Volume: 92
Pages: 405-408
Peer Reviewed
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