2010 Fiscal Year Annual Research Report
臍帯血移植の生着・拒絶に関与する移植片中および患者末梢血中CD8陽性T細胞の解析
Project/Area Number |
20591149
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 誠 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40378063)
|
Keywords | 骨髄移植 / 生着 / 拒絶 / 移植片対宿主病 / 移植片対白血病効果 / T細胞 / CD8 / HLA |
Research Abstract |
本研究では、移植後の生着や拒絶、および移植片対宿主病(GVHD)や移植片対白血病効果などの同種免疫応答に関与する移植片中もしくは患者末梢血中のT細胞について詳細な解析を行っている。今年度は、当大学でHLA不適合移植を受けた後に白血病再発を来たした患者末梢血から、その不適合HLA特異的な細胞傷害活性を呈するT細胞を分離、解析したので、その結果を報告する。患者はHLA1座(GVHD方向)不適合の母から骨髄移植を受けた後、制御不良なGVHDを合併していたにも関わらず再発した。この患者から文書による説明と同意を得た上で血液等の提供を受けた。移植後再発白血病細胞では、移植前白血病細胞と比べて不適合HLAの発現量が低下していた。一方、適合しているHLAの発現量は不変だった。移植後患者末梢血から複数のドナー由来T細胞クローンの分離に成功した。それらは全て不適合HLA分子を標的とする細胞傷害活性を示した。保存細胞数に限りがあり一部のクローンの解析にとどまるが、少なくとも解析し得たクローンは、移植前白血病細胞を傷害したが移植後白血病細胞は傷害しなかった。この症例では、不適合HLA分子を認識するT細胞による免疫学的圧力からHLAを発現していない分画の白血病細胞がエスケープし、移植後再発に至ったと考えられる。ときに重症GVHDを発症しながら同時に白血病再発を来す症例を経験するが、今回の解析結果はこの再発メカニズムを説明しうるものと考えている。現在論文作成中である。
|
Research Products
(7 results)