2010 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞由来細胞から肝星細胞への分化機序の解明:新規肝線維症治療法を目指して
Project/Area Number |
20591150
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
桝屋 正浩 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30281083)
|
Keywords | 肝線維化 / 肝星細胞 / 造血細胞 / CCR2 antagonist |
Research Abstract |
これまでに、四塩化炭素による慢性肝傷害下において、造血幹細胞に由来する細胞が肝星細胞に分化しうることを明らかにしてきた。しかし、造血細胞に由来する肝星細胞の前駆細胞がどのような機序で傷害肝に生着するのかは明らかになっていない。これまでの報告では、傷害肝からケモカインのSDF-1α,MCP-1,Fraktalkineが産生されること、SDF-1α/CXCR4を介して造血幹細胞/前駆細胞が傷害肝に侵入することが示されている。本研究ではMCP-1/CCR2シグナル系に着目して造血細胞の傷害肝への侵入および肝星細胞への分化を検討した。 EGFPマウスから採取した骨髄細胞を移植したマウスを作成後、MCP-1受容体であるCCR2のantagonistとして作用するPropagermaniumを含む餌(P群)と含まない餌を投与する(C群)2群において、四塩化炭素による慢性肝傷害を与え、両群における肝線維化の程度、肝臓内への細胞浸潤の程度および浸潤細胞の種類の差異を解析した。(1)肝線維化面積比率はC群で6.7%±1.1%、P群で3.4%±1.2%とP群で線維化が抑制されていた。(2)肝臓内に浸潤したEGFP陽性細胞はC群26.7±8.5細胞、P群37.2±15.9細胞でその内、非血液細胞(CD45陰性細胞)の比率はそれぞれ31%、36%であった。F4/80陽性のKupffer細胞のEGFP陽性細胞に占める比率はC群23%、P群31%であり、vimentin陽性の肝星細胞のEGFP陽性細胞に占める比率はC群23%、P群10%であった。以上から、Propagermanium投与により、F4/80陽性のKupffer細胞が増加する一方、vimentin陽性の肝星細胞が減少していることがわかった。この肝星細胞の減少により肝線維化が抑制されたものと考えられた。造血細胞はMCP-1/CCR2を介した経路でも傷害肝に浸潤している。
|