2010 Fiscal Year Annual Research Report
血小板TOLL-LIKE RECEPTORの活性化とその臨床的意義
Project/Area Number |
20591153
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
羽藤 高明 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (30172943)
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Keywords | 血小板 / Toll-like receptor / インテグリン / GPIIb-IIIa / 敗血症 / 自然免疫 |
Research Abstract |
私どもは血小板に発現しているTLRsがαIIbβ3を活性化するか否かについて検討した。まず、RT-PCR法を用いて血小板に発現しているTLRsの種類を同定した。次いで、TLR4のリガンドであるLipopolysaccharide (LPS)、TLR5のリガンドであるFlagerin、TLR7のリガンドであるImiquimodを血小板とincubationした後、αIIbβ3活性型リガンド類似抗体PAC1との結合ならびに固層化したFibrinogenとの血小板粘着、血小板凝集を測定した。さらに、敗血症患者の血清を健常人血小板とincubationした後、固層化したFibrinogenとの血小板粘着を測定した。その結果、血小板にはTLR2, TLR4, TLR5, TLR7 TLR8が発現していた。LPSおよびFlagerin、ImiquimodはPAC1結合を増加させたが、ADPなどの血小板アゴニストによるPAC1結合量に比べて少なく、血小板凝集を惹起できなかった。一方、固相化したFibrinogenへの血小板粘着は増加した。また、MAPキナーゼ阻害剤であるPD98059とSB202190は、LPSやFlagerin、Imiquimod非存在下での血小板粘着には影響しなかったが、これらTLRsリガンド存在下での血小板粘着の増加反応を抑制した。また、敗血症患者の血清は固層化したFibrinogenとの血小板粘着を増加させた。以上の成績から、血小板に発現しているTLR4、TLR5とTLR7へのリガンド結合は、MAPキナーゼ経路を介してαIIbβ3を活性化し、血小板粘着を増加させることが示唆された。さらに、敗血症患者の血清は血小板粘着を促進したが、この知見は血小板が様々な病原体と接触することでαIIbβ3が活性化され、血小板粘着性が高まることを示唆しており、血小板も自然免疫応答で何らかの役割を担っている可能性があると考えられた。
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Research Products
(4 results)