2009 Fiscal Year Annual Research Report
Notch-1を発現するヒト造血前駆細胞の純化と分化能解析
Project/Area Number |
20591154
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩崎 浩己 Kyushu University, 大学病院, 講師 (20403925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤司 浩一 九州大学, 医学研究院, 教授 (80380385)
|
Keywords | Notchシグナル / 造血前駆細胞 / 単球 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
1. 平成20-21年度研究では、健常人の骨髄中に存在するNotch-1陽性ヒト造血前駆細胞をマルチカラーフローサイトメトリーで純化する方法を確立した。このNotch-1陽性ヒト造血前駆細胞は、common myeloid progenitor(CMP)分画およびgranulocyte/macrophage progenitor'(GMP)分画のそれぞれ約5%程度を占めていた。それぞれの細胞表面マーカーは、Lin^-CD34^+CD38^+Notch-1^+IL-3Rα^+CD45RA^-、Lin^-CD34^+CD38+Notch-1^+IL-3Rα^+CD45RA^+であった。この両者において、in vitroでの分化能に明らかな差異は認められなかった。 2. Notch-1陽性ヒト造血前駆細胞はin vitro液体培養系において、好中球系への分化能が抑制されており、おもに単球および樹状細胞への分化が認められた。純化したNotch-1陰性GMPの液体培養中にNotch-1陽性前駆細胞が分化してくることが確認された。つまり、Notch-1陽性前駆細胞はGMPの下流に位置し、単球/樹状細胞系により分化した前駆細胞と考えられた。その遺伝子発現プロファイル解析においても、PU.1やFLT3など単球/樹状細胞系分化に重要な分子の強い発現が認められた。 3. Notch-1のリガンドであるDelta-like 1を強制発現させたストローマ細胞株(Tst-4-DL1)とコントロールの親株(Tst-4)を用いて、Notch-1陽性ヒト造血前駆細胞の分化能に及ぼすNotchシグナルの役割を検討したところ、Delta-like 1刺激の有無でその増殖能に大きな差異は認められなかった。しかし、リガンド刺激を受けて分化した樹状細胞では、HLA-DRやCD86などの活性化マーカーの発現が弱い傾向が認められた。つまり、Notchシグナルは樹状細胞の成熟に抑制的に働く可能性があり、抗原提示能力などの機能的解析と遺伝子発現プロファイルをすすめている。
|