2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子治療による次世代血友病治療法の開発と非ヒト霊長類を用いた前臨床研究
Project/Area Number |
20591155
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
三室 淳 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10221607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窓岩 清治 自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
大森 司 自治医科大学, 医学部, 講師 (70382843)
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Keywords | 血友病 / 遺伝子治療 / 細胞移植 / 第VIII因子 / 第IX因子 |
Research Abstract |
血友病A遺伝子治療:肝臓以外の臓器に遺伝子発現を起こさないことが導入遺伝子産物への免疫反応を軽減することに重要であることが示された。ヒトFVIIIは血友病Aマウスでは血液レベルを高めることがこれまで困難であったが、AAV8ベクターとHCRHAAT-プロモーターを用いること、および免疫反応を制御することで、血友病AマウスにおいてヒトFVIII活性を50-100%に維持することが可能となった。中型血友病モデル動物の作製に成功した。遺伝子細胞治療として、AAV Rep遺伝子を用いた19番染色体AAVS1領域への部位特異的FVIII遺伝子組込が効率よく行えることが確認できた。トリグロビンHS4インスレーターを組込むことでSIVベクターによる遺伝子導入血液細胞のクローナルな増殖抑制効果が得られ、SIVベクターの安全性を高める可能性が示唆された。血友病B遺伝子治療:マウスでの検討を終え、カニクイザルを用いた前臨床実験を遂行している。ヒトFIX特異的モノクロナル抗体で検出可能な変異カニクイザルFIX(FIXT262A:262位のThrをAlaに置換)を発現するAAV8ベクターを作製した。このベクターはマウスで1000%以上のFIX発現をえることができる。サルに同ベクターを投与したところ、中和抗体陰性の3頭では治療レベルの導入遺伝子由来FIX発現が得られた。しかし、既感染に基づくAAV8に対する中和抗体が低力価でも存在するサル3頭では腸間膜静脈からベクターを投与しても血中に期待レベルのFIXの長期発現は得られなかった。中和抗体のAAV8ベクターの遺伝子導入阻害を回避するベクター投与法を抗AAV8中和抗体が存在するカニクイザル4頭にて試み治療域に達するFIX発現がえられ、既感染に基づく抗AAV抗体が存在しても遺伝子治療が可能であることが示された。
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Research Products
(24 results)