2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫細胞の発現する補助刺激分子群(B7系分子など)とそのシグナル:病態への関与
Project/Area Number |
20591157
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田村 秀人 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (70256949)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 清行 日本医科大学, 医学部, 教授 (20169171)
|
Keywords | 骨髄腫 / B7系分子 / 細胞周期 |
Research Abstract |
本年度はB7.2、B7-H2分子に注目し、骨髄腫(MM)細胞におけるそれら分子の発現と病態への関与を検討した。1.MM細胞株14種および骨髄検体中の形質細胞(正常者10例、MGUS21例、MM40例)につき、上記B7系分子発現をフロサイトメトリーで解析したところ、MM細胞株の7株にB7.2発現を、9株にB7-H2発現を認めた。MM患者形質細胞のB7.2発現は、正常者やMGUSの形質細胞と比較し高かった。B7-H2発現は、4例のMM患者形質細胞にのみ認めた。MM患者形質細胞のこれらの分子発現は、TNFα添加やストローマ細胞との共培養で誘導・増強された。また、B7.2発現の強いMM患者は、貧血・血小板減少が強くM蛋白量が多かった。2.MM細胞を、腫瘍増殖関連サイトカインやストローマと培養し、B7系分子発現の変化を観察した。B7.2^+とB7-H2^+MM細胞は、B7.2^-とB7-H2^-MM細胞に比べS/G2/M期が多く、細胞増殖速度も速かった。3.MM細胞のB7系分子発現が、自身の増殖や、CD4^+T細胞の増殖やサイトカイン産生に及ぼす影響を解析した。B7.2^+B7-H2^+MM細胞株を健常者CD4^+T細胞と培養しB7分子径路を遮断すると、CD4^+T細胞の増殖とIL-10産生が抑制された。これらの結果より、MM細胞のB7.2およびB7-H2分子発現は、自身の細胞増殖速度に関連し、またCD4+^細胞のIL-10産生を促し、MM細胞の増殖刺激と腫瘍特異的細胞傷害性T細胞の抑制をする可能性があり、MMの病勢に関与している分子であると考えられた。
|