2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫細胞の発現する補助刺激分子群(B7系分子など)とそのシグナル:病態への関与
Project/Area Number |
20591157
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田村 秀人 日本医科大学, 医学部, 助教 (70256949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 清行 日本医科大学, 医学部, 教授 (20169171)
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Keywords | 骨髄腫 / B7-H1 / 細胞周期 |
Research Abstract |
本年度は、骨髄腫(MM)細胞におけるB7-H1分子の発現、発現誘導のメカニズム、骨髄腫病態への関与について検討した。(1)MM患者およびヒトMM細胞株14種の腫瘍細胞上B7-H1発現をフロサイトメトリーで解析。また、サイトカインやストローマ細胞存在下に培養し、B7-H1発現が誘導されるか観察した。MM患者細胞のB7-H1発現は、正常骨髄に比べ高く、さらに予後不良例や再燃例でB7-H1発現がいっそう顕著であった。MM細胞株では、RPMI8226のみにB7-H1発現を認めた。剛細胞上のB7-Hl発現は、IFNα・γ刺激やストローマ細胞との共培養により誘導・増強された。ストローマから分泌される液性因子がB7-H1発現を誘導していた。(2)B7-H1発現と腫瘍増殖・薬剤感受性との関連、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞(CTL)に及ぼす影響を解析したところ、RPMI8226細胞のB7-H1陽性分画は、B7-H1陰性分画と比べ、S/G2/M期の細胞比率が多く、BrdU・Ki67発現は高く、増殖能が高いことが示された。さらにL-PAM・DEX耐性であった。また、B7-H1陰性剛細胞株に対する腫瘍特異的CTLを樹立。IFNα刺激によりその剛細胞上にB7-H1発現を誘導すると、CTL活性は著明に低下し、B7-H1シグナルを遮断することによりCTL活性は回復した。 以上の結果より、MM細胞のB7-H1発現は骨髄環境で増強し、CTL回避だけではなく、腫瘍細胞増殖や薬剤耐性に関与していた。また、従来行われていたIFNα治療は、洲細胞にB7-H1を誘導し腫瘍免疫を抑制する可能性がある。ストローマから分泌されるB7-H1発現誘導因子に関しては現在解析中である。
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