2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄内直接移植法を用いた新規マウス造血幹細胞の同定とその幹細胞特性の解明
Project/Area Number |
20591158
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 豊 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (80425066)
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Keywords | 造血幹細胞 / 骨髄内移植 / c-kit / 移植・再生医療 |
Research Abstract |
我々は、予備的研究データに基づき、成体C57BL/6マウス骨髄からFACS Ariaセルソーターを用いてc-kit^+Sca-1^+Lin^-(KSL)およびc-kit^-Sca-1^+Lin^-(K^-SL)分画を採取し、骨髄腔内直接移植法を用いてレシピエントマウスに移植、造血幹細胞(HSC)の特質である長期骨髄再構築能を検討している。当初は致死量放射線照射マウスを対象に移植実験を行ったが、KSL細胞と異なりK^-SL細胞の骨髄生着頻度は極めて低いことが判明した。これは、KSL細胞とK^-SL細胞の質的差異である可能性を考慮し、移植方法の改善を試みた。致死量照射を厳格化するとK^-SL細胞の生着頻度が低下することが示唆されたため、照射量の低減を試み、一部に生着頻度の改善を認めた。これにより、データの確度が高まり、新規HSC存在の有無をより明瞭に示すことが可能になると期待している。K^-SL細胞が新規HSCであれば、KSL細胞とのヒエラルキー上の関係を明らかにする必要がある。我々は、この一環として、K^-SL細胞からKSL細胞の誘導が可能であるかどうかインビトロに検討を行いつつある。ウシ胎児血清添加/非添加に加え、種々のサイトカインの組合せの検討を行ったが、これまでのところ液体培養下においてK^-SL細胞の増殖は認められていない。しかし、ストローマ細胞との共培養により、K^-SL細胞は増殖し、かつ、KSL細胞様の細胞表面形質を現し始めることを確認した。現在さらなる検討を加えつつあるが、上記インビトロ培養系がK^-SL細胞の造血系における位置付けを明らかにする手段となることが期待される。
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