2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗リン脂質抗体症候群における向血栓機構の解明と分子標的療法の開発
Project/Area Number |
20591165
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
窪田 哲朗 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・保健衛生学研究科, 准教授 (90205138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 一夫 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70114402)
鈴木 英紀 (財)東京都医学研究機構, 電子顕微鏡室, 主任研究員 (30158977)
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Keywords | 抗リン脂質抗体症候群 / シグナル伝達阻害薬 / 血小板機能 / ケモカイン |
Research Abstract |
抗リン脂質抗体症候群における血栓形成傾向のメカニズムに関しては,患者血清中の抗β2グリコプロテインIに対する自己抗体が単球表面のβ2グリコプロテイン1に結合して単球を活性化し,単球表面に血液凝固系を活性化させる組織因子を発現させることが重要であると言われている。しかし,他の要素も関わっている可能性があり,本研究では主に抗β2グリコプロテインI抗体によって発現が誘発されるサイトカインやケモカインの血栓形成への関与について明らかにするとともに,それらの発現をシグナル伝達阻害薬によって制御する可能性について研究している。 本研究によってこれまでに,抗β2グリコプロテインI抗体が結合することによって単球における組織因子の発現が増強し,それが血漿の凝固を引き起こすことを確認するとともに,私たちが開発した新しい転写因子NF-κBの阻害薬DHMEQによって単球の組織因子発現とそれによる血漿の凝固を抑制できることを証明した。 さらに抗β2グリコプロテインI抗体によって活性化した単球は,炎症性サイトカインIL-1βやTNFαを産生するが,DHMEQはそれらのサイトカインの発現を抑制することを証明した。また, IL-1βやTNFαの刺激を受けた血管内皮細胞は, CCL5やCX3CL1といったケモカインを産生するが,本研究ではこれらのケモカインが血小板の凝集能や粘着能を亢進させることを確認するとともに, DHMEQによってこれらのケモカインの発現を抑制できることを証明した。 以上より,組織因子による血液凝固系の活性化および,サイトカインやケモカインによる血小板機能の活性化が抗リン脂質抗体症候群の病態形成に関わっていることが示唆され,しかもそれらはNF-κB阻害薬で抑制できることが証明され,シグナル伝達阻害薬による新しい治療法が開発できる可能性が示された.
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Research Products
(5 results)