2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラクタルカイン阻害による血管炎症候群に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
20591166
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
南木 敏宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (00282749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 信之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30157622)
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Keywords | 血管炎症候群 / フラクタルカイン / CX3CR1 / ケモカイン |
Research Abstract |
Candida albicans water-soluble fraction (CAWS)をマウスに投与することにより、血清中に抗好中球細胞質ミエロペルオキシターゼ抗体(MPO-ANCA)が出現し、冠動脈起始部などに血管炎が発症する(CAWS誘導血管炎)。これはANCA関連血管炎のモデル動物として用いることができる。Balb/cマウスに、CAWSを5日間腹腔内投与し、28日後に心臓を摘出してHE染色により病理組織像を解析した。CAWSの投与により冠動脈周囲に著明な炎症細胞浸潤がみられ、血管炎の発症が認められた。 フラクタルカイン欠損マウス、およびワイルドタイプマウスにCAWSを投与し、冠動脈の血管炎の程度をスコア化して比較した。フラクタルカイン欠損マウス、ワイルドタイプマウスともに、冠動脈に血管炎が発症した。血管炎スコアは、フラクタルカイン欠損マウスで低値である傾向がみられたが、統計学的な有意差は得られなかった。次に、CAWS誘導血管炎マウスに、抗フラクタルカイン抗体を週に3回投与し、同様に血管炎スコアを解析した。抗フラクタルカイン抗体投与群と、コントロール抗体投与群において、血管炎スコアに有意差は認めなかった。これらの結果より、CAWS誘導血管炎において、フラクタルカインの病態形成への寄与は低い可能性があり、その阻害による治療効果は認めなかった。 CAWS誘導血管炎に対して、レチノイドの一つであるAm80を投与したところ、血管炎の抑制効果が認められたレチノイドが血管炎に対する治療薬となる可能性が示された。
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