2008 Fiscal Year Annual Research Report
疾患特異的な免疫制御法および抗炎症作用を有する新規生物製剤・低分子化合物の開発
Project/Area Number |
20591168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
臼井 崇 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (90362483)
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Keywords | 自己免疫疾患 / 関節リウマチ / gamma / delta T細胞 / サイトカイン / ケモカイン / SKGマウス / コラーゲン誘導関節炎 |
Research Abstract |
近年IL-17を産生するTh17細胞の自己免疫疾患への関係が多く示唆されているが,それらの多くはモデル動物から得られたデータであり,ヒトにおけるデータは少ない.従って我々は,モデル動物との異同を精密に比較しながらヒト全身性自己免疫疾患症例におけるIL-17の病態学的意義を解析した.まず関節リウマチ(RA)に対する代表的マウスモデルである,コラーゲン誘導関節炎モデルを用いて罹患関節局所に浸潤してくる単核球を経時的に解析したところ,関節局所にはTh1細胞は存在せず,ほぼすべてがIL-17産生細胞であり,しかもその大部分がTh17細胞ではなく,gamma/delta T細胞であった.このgamma/delta T細胞はCCR6+かつRORgamma-t陽性であり,Th17細胞と同様の表現形を有していたが,特異抗原であるII型コラーゲンには反応せず,IL-1beta/IL-23というサイトカインによって増殖しIL-17を多量に産生した.我々は本細胞をgamma/delta 17細胞と名付けた.ところがSKGマウス罹患関節局所侵潤細胞中にはgamma/delta 17細胞は全く存在せず,純粋なTh17細胞反応が本マウスの特徴であることが分かった.次にヒトRA症例で同様の解析を行ったが,他者の報告通りTh17細胞は少数しか存在せず,大部分はTh1細胞であり,マウス関節炎モデルとはかなり異なる病態であることが示唆された。
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