2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜型TNFの機能解析と自己免疫疾患の病態解明ならびに治療への応用
Project/Area Number |
20591172
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀内 孝彦 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90219212)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田平 知子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50155230)
|
Keywords | 膜型TNF / 可溶型TNF / TNF阻害薬 / サイトカイン |
Research Abstract |
近年抗TNF療法が、さまざまな炎症性疾患に効果があることが明らかになってきており関節リウマチ、クローン病、ベーチェット病に加え、さらに2010年から本邦で強直性脊椎炎、乾癬、潰瘍性大腸炎に適応症が拡大されている。それにともなって、抗TNF抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ)と可溶型2型TNF受容体(エタネルセプト)とでは、効果を示す疾患にも違いがあることがわかってきた。すなわち、これら3つの抗TNF製剤は可溶型TNFを同様に中和することから、単なる可溶型TNFの中和という作用以外に異なった作用機序を有することが予想される。膜型TNFは、サイトカインなどのさまざまな刺激に伴って活性化マクロファージやT細胞の表面に表出する可溶型TNFの前駆体である。膜型TNFの新しい免疫機能についてこの2年間は研究を進めてきた。我々は昨年までの研究で、T細胞株のJurkatで高発現した膜型TNFが、IL-2、IFN-γなどのサイトカイン産生、接着分子であるE-セレクチンの誘導、細胞内カルシウム濃度の上昇などの生物活性を示すことを明らかにしてきた。本研究では、現在承認されているインフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプトの3製剤に加えて、現在治験が進行しているゴリムマブ、セルトリズマブの2製剤の膜型TNFへの作用を検討した。膜型TNFのリガンドとしての作用(外向き作用)については膜型TNF発現T細胞の標的T細胞に対するcell-to cell contactでの細胞障害活性の阻害活性は、エタネルセプトは1μg/mlの低濃度では抗体製剤に比べて弱かった。また膜型TNF発現細胞に対する膜型TNFを介したADCC,CDCならびに内向きシグナルについて、5種類のTNF阻害薬の作用を比較した。インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブの3種類の抗体製剤はADCC,CDC,内向きシグナルすべての作用を有し、膜型TNF産生細胞を強力に抑制した。一方、エンブレルはADCCを示し、セルトリズマブは内向きシグナルを示したが、その他の作用はなかった。
|