2010 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチにおけるアディポサイトカインの臨床的意義
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20591177
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
川合 眞一 東邦大学, 医学部, 教授 (70129401)
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Keywords | rheumatoid arthritis / adipocytokine / adiponectin / synovial fibroblasts |
Research Abstract |
近年、脂肪組織は単なるエネルギー蓄積という機能のみならず、さまざまな生理活性物質を分泌するホルモン臓器として機能している。これらは一般に、アディポサイトカインあるいはアディポカインと呼ばれている。関節リウマチ(RA)は、自己免疫異常を背景とした原因不明の慢性炎症性疾患だが、その病態形成に関わる炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子α、インターロイキン(IL)-1、IL-6などを標的とした生物学的製剤がRA患者で著効することが知られている。しかし、これらの最新治療にもかかわらず改善しない患者がなおも認められ、RAの全ての病態形成をこれらの炎症性サイトカインのみで説明することはできない。そこで申請者らは、アディポネクチン、レジスチン、レプチンなどのアディポサイトカインに注目し、倫理委員会の承認を得た実験計画でRA病態形成におけるこれらの意義を検討した。まず、アディポサイトカインの作用をin vitroで検討した。生理的濃度のアディポネクチンは、特異的受容体を介してヒト滑膜細胞のIL-8産生(Biochem Biophys Res Commun. 2009;378:218-223)、およびシクロオキシゲナーゼ-2と膜関連プロスタグランジンE合成酵素-1の発現誘導を介したプロスタグランジンE2産生(Arthritis Rheum. 2010;62:1641-1649)を増加させることを見出した。H22年度はRA患者における血清アディポサイトカイン濃度を検討したところ、アディポネクチン、レジスチン、レプチンの血清濃度が増加し(Intern Med. 2011;50:269-275)、いずれも血清CRP濃度と有意に相関していた。これらの成績は、少なくとも一部のアディポサイトカインは、滑膜局所では炎症性サイトカインとして作用していることを示唆するものである。今後は、これらのアディポサイトカイン相互の関係や炎症誘発機序などの研究を進めたい。
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Research Products
(10 results)