2008 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインLECT2による関節リウマチ抑制メカニズムの解析
Project/Area Number |
20591180
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山越 智 National Institute of Infectious Diseases, 生物活性物質部, 主任研究官 (00212283)
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Keywords | 医療・福祉 / 生理活性 / 免疫学 |
Research Abstract |
LECT2遺伝子欠損マウスを用いた抗II型コラーゲン抗体誘導性関節炎モデルでLECT2の抑制活性が明らかとなりIL-1β,IL-6等サイトカインの産生抑制が原因の1つと考えらたが、詳細な作用機序については不明である。滑膜細胞は関節リウマチ発症に寄与する重要な細胞であること、LECT2レセプターを、発現すると考えられることからLECT2のターゲットになっていると考えられる。そこで、ヒト滑膜細胞を購入し、精製したヒト組換え体LECT2を作用させ6時間、24時間後のRNAを抽出調整し、アジレント社のマイクロアレイに供した。これまでも同様の実験を行い報告しているが、今回は培養液中の牛LECT2を抗体カラムにより除去した培地を用い、培養した細胞よりサンプルを得た。これによりこれまで培地中のLECT2の作用を考慮する必要がなくなった。 各3回の実験を行い2倍以上発現上昇する遺伝子、半分以下に発現が抑制する遺伝子を調べた。発現上昇する遺伝子で再現性のあったものは、BC12関連遺伝子が検出され、このことより、LECT2は、滑膜細胞のアポトーシスを阻害する可能性が示唆された。発現が抑制される遺伝子に関しては、CCL2をはじめとしたC-Cケモカイン、およびそのレセプター、IL-8とそのレセプターが検出された。さらにIL-1bの発現も抑制されていた。LECT2ノックアウトを用いて抗II型コラーゲン抗体誘導性関節炎モデルが重篤化した原因の1つにこれらサイトカインの発現上昇が関与する可能性を報告しているが、その事実と符合する。さらにインタフェロンγの発現の低下も検出した。同時に転写因子STAT4の発現低下も検出しているので、LECT2によるインタフェロンγの発現の低下はこの転写因子の発現低下が原因と考えられた。現在さらに詳細な解析を行っている。 また、LECT2のレセプターのクローニングに関しては、SST-REX法を用い発現クローニングを行っており、現在候補遺伝子を3つ得ておりそれらの検証を行っている。
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