2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591191
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
永田 真 Saitama Medical University, 医学部, 教授 (20211443)
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Keywords | 重症喘息 / 好中球性炎症Interleukin-8 / Tumor necrosis factor-α / Interleukin-13 / β2受容体刺激薬 / 吸入ステロイド薬 |
Research Abstract |
喘息の基礎病態である気道炎症のプロファイルに関連し、誘発喀痰ならびにin vitroでの炎症細胞の組織浸潤・活性化実験システムを連動的に用い、下記の知見を得た。まず誘発喀痰をもちいた研究において、重症喘息患者では吸入ステロイド療法が十分に奏功していないことから、その機序を明らかにする目的において、吸入ステロイド薬を中止可能な喘息患者、すなわち治療中止を希望する長期寛解喘息患者においてその中止前後での気道炎症病態を検討した。その結果、吸入ステロイド中止前後で誘発喀痰中のIL-8量、TNF-α量、好中球比率は不変であった。一方で代表的Th2サイトカインであるIL-4量は吸入ステロイド中止にともない増加し、喀痰中好酸球の増加と連動した。この成績は、吸入ステロイドは基本的にTh2サイトカインによる気道炎症を沈静しているが、自然免疫系炎症分子、そして好中球炎症の制御に成功していないことを示唆する。またこの情報は重症喘息喀痰でIL-8,TNF-α量、好中球が増加していることを見出した我々の検討成績と符合しており、治療反応性の観点から喘息難治化におけるこれらの寄与を示す。次に治療薬が喘息難治化に寄与しえるかを検討する目的で、過剰使用が喘息死などと連関することが指摘されている吸入β2刺激薬の、炎症性サイトカイン産生におよぼす効果を調べた。代表的吸入β2刺激薬であるsalbutamolは、喘息患者の無刺激あるいはアレルゲン刺激単核球からのIL-13を増強し、IFN-γ産生は減弱することを観察した。とのことは過剰なβ2刺激薬使用が喘息気道でのTh1/Th2インバランスを助長し、気道炎症を難治化させる可能性を示唆する。呼気凝縮液での臨床的検討についてはTXB2,ロイコトリエンなどの脂質メデイエーターは検出できることを確認しており、次年度に病態・重症度別の検討を行う。
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