| Research Abstract |
本年度は,これまでの成績に基づき,(I)抗グリシルtRNA合成酵素(EJ)抗体と関連する臨床像の追究,(II)筋炎特異自己抗体と関連する筋病理組織像の検討,を行った。
【目的】(I)抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体の一つである,抗EJ抗体陽性例の臨床的特徴を追究すること,(II)筋炎特異自己抗体陽性例の筋病理組織学的特徴を検討すること,を目的とした。【対象と方法】(I)教室で自己抗体を検索した膠原病患者6,000例を対象とし,免疫沈降法により抗EJ抗体陽性例を同定し,同抗体陽性例の臨床的特徴を検討した。(II)1)当院,共同研究施設を受診し,自己抗体の分析とともに詳細に筋組織所見を検討し得た多発性筋炎/皮膚筋炎45例を対象とし,H&E, ALP, ATPase, Gomoriトリクローム染色などで筋組織像を検討した。
【結果】(I)(1)抗EJ抗体陽性例15例(DM:7例,特発性間質性肺炎(IIP):6例,PM:1例,関節リウマチ:1例)を見出した。(2)間質性肺炎(IP)を全例に認めたが,経過は慢性型であった。多関節炎を13例(87%)、発熱を11例(73%),RF陽性を9例(60%),筋炎を8例(53%),DM皮疹を7例(47%)に認めた。(II)1)抗Jo-1抗体4例,抗SRP抗体8例,抗RNP抗体5例が検出された。2)抗Jo-1抗体;筋壊死・再生所見が25%,抗SRP抗体;炎症性細胞浸潤なく,typel fiber優位が50%,抗RNP抗体;全例に筋壊死,炎症性細胞浸潤,が認められ,特徴的であった。
【結語】)(I)抗EJ抗体はIP,関節炎,筋炎と密接に関係し,筋炎においてはDMが特徴的であった。(II)筋炎特異自己抗体と筋病理組織所見との関連が示唆された。
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