Research Abstract |
これまでに進めてきている検討で,cPLA_2-GFP遺伝子のベクターへの組み込みとCHO細胞での発現系は一応完成していたので,平成20年度は,CHO細胞に抗酸菌貪食能を付与するために,CD14,FcγR,CR3の3種のレセプター蛋白を発現させるための試みを進めた。その結果,CD14およびFcγRについては,各々の遺伝子を組み込んだプラスミドをCHO細胞に導入し,その発現を共焦点レーザー顕微鏡で確認することが出来た。そこで,CD14発現CHO細胞株の抗酸菌貪食能について調べたところ,CD14発現陰性のCHO細胞に比べて約5倍の貪食能を有する細胞が検出されている。次にCR3(CDllb/CD18)については,まずCD18 cDNAを組み込んだプラスミドをCHO細胞に導入しCD18発現CHO細胞株を樹立した。さらに,CDllb cDNAを組み込んだ発現プラスミドも完成しており,現在,CD18発現CHO細胞株へのCDllb遺伝子導入の試みを進めている。なお,cPLA_2α遺伝子については,Ser残基に変異を導入した(S505A,S515A,S727A)のcPLA_2α cDNAのクローニングと各変異体とGFPとの融合蛋白を発現させるためのベクターへの組み込みが完了している。また,別途に進めているRAW264.7マクロファージ(MФ)細胞を用いた検討では,MФに結核菌を感染させた場合,感染後6〜12時間後にcPLA_2ならびにsPLA_2-VmRNAの発現増強が起こることが明らかになったが,この成績は,cPLA_2以外にも複数のPLA_2がMФの抗酸菌殺菌メカニズムに関わっている可能性を示唆するものであり,今後はこの点についても検討を進める予定である。
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