2010 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリオファージの溶菌活性を利用する新規ピロリ菌除菌法の開発研究
Project/Area Number |
20591203
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松崎 茂展 高知大学, 教育研究部・医療学系, 准教授 (00190439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 啓晃 高知大学, 教育研究部・医療学系, 講師 (90346560)
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Keywords | ピロリ菌 / ファージ / 除菌法 |
Research Abstract |
バクテリオファージ(ファージ)の溶菌活性を利用するピロリ菌の除菌法、いわゆるファージ療法の開発を目指し報告者らが分離に成功した、新規ファージφHP33について性状解析を行なった。(1)塩化セシウム密度勾配超遠心法によりファージ粒子を精製し、形態を電子顕微鏡により検討したところ直径約60nmの尾部を有しない球形のファージであった。外殻の中にコア構造があり、クロロホルムに感受性を有することから、脂質を含有すると予想された。(2)ファージ粒子から核酸を抽出解析した結果、ファージゲノムは2本鎖DNAであった。塩基配列の解読の結果、ゲノムサイズは約26kbpで28個のORFが確認された。その内ORF13は、ファージ蛋白質のN末端アミノ酸配列解析との比較から、ビリオン蛋白質遺伝子であることが特定された。ゲノム構成から、本ファージは新しいウイルス科を形成する可能性が示唆された。(3)安定性は非常に高く、ファージ溶菌液中のファージの活性は、4℃6ヶ月保存後でも殆ど変化しなかった。(4)臨床分離のピロリ菌40株について宿主域をプラーク形成により検討した。その結果、63%の菌株でプラークを形成でき、比較的広宿主域であることが示された。(5)φHP33の液体培地での溶菌活性を検討した。菌液に高濃度のファージを添加した場合、菌増殖の完全抑制が認められた。一方、ファージ希釈液を使用した実験では、濃度依存的な溶菌活性が認められた。溶菌活性は低濃度でも見られることから、本ファージは極めて強力なピロリ菌溶菌活性を有すると考えられた。以上から、φHP33は比較的小さなビリオンおよびゲノムを保有し、広宿主域であり、ピロリ菌に対し強い溶菌活性を保有することが明らかとなり、ピロリ菌感染症に対するファージ療法の有効性検討のための優れたツールになると期待される。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Presence of Merkel cell polyomavirus in Japanese cutaneous squamous cell carcinoma.2011
Author(s)
Murakami M, Imajoh M, Ikawa T, Nakajima H, Kamioka M, Nemoto Y, Ujihara T, Uchiyama J, Matsuzaki S, Sano S, Daibata M.
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Journal Title
J Clin Virol.
Volume: 50
Pages: 37-41
Peer Reviewed
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