2008 Fiscal Year Annual Research Report
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による院内肺炎の診断と抗菌薬治療開始閾値に関する研究
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20591204
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
青木 洋介 Saga University, 医学部, 准教授 (60222478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 麻美 佐賀大学, 医学部, 講師 (20315196)
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Keywords | 感染症 / MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) / 抗菌薬 / 肺炎 / 臨床疫学 / Bayes解析 / アルゴリズム / Evidence-based medicine |
Research Abstract |
気道検体MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)陽性および陰性患者(総数160事例)の比較検討により、以下の臨床項目についてMRSA下気道感染の診断に関する陽性尤度比/陰性尤度比,オッズ比を算出した:(1)体温>38℃1.95/0.69,2.8、(2)WBC>15000/・L2.54/0.77,3.2、(3)喀疾中MRSA定量値>106CFU/mL1.52/0.41,3.7、(4)貧食像あり2.2/0.6,3.6、(5)血清アルブミン<3.Og/dL1.65/0.44,3.7。 上記結果を基に、Bayes解析によるMRSA気道感染症の定量的診断確率(p)を求め、臨床診断結果との比較を行った。p=60%をcut-offとした場合、≧60%およびく60%に大別される二つの患者群(感染および定着)は感染症専門医による臨床診断と良好な相関を示した。一方では両診断法の結果が解離する事例も認められるため、更に対象事例を増やした診断精度向上の検討が必要と思われる。特に平成21年度はBayes解析対象項目としてclinical pulmonary infection scoreを取り入れて臨床検討を続行する予定である。 これらの研究結果は、臨床医が従来の経験と知識により疾患を診断する際の意思決定に用いる各臨床指標の主観的診断寄与度を数値化したものとして捉えることができる。また、多数例の解析による数値であるため、個々の臨床医が経験する限られた患者数による診断バイアスを可能な限り無くしたものであり、根拠に基づく感染症医療(Evidence-based Medicine)の実践・普及に有益なデータである。 今年度は既に6月の日本化学療法学会総会で上記結果について発表を行う予定である。
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