2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規低分子化合物による抗HIV‐1中和抗体感受性の特異的増強とメカニズムの解析
Project/Area Number |
20591206
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉村 和久 Kumamoto University, エイズ学研究センター, 講師 (60315306)
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Keywords | HIV-1 / 中和抗体 / 低分子化合物 / NBD-556 / エンベロープ / 中和抗体増強剤 |
Research Abstract |
HIV-1 gp120の立体構造変化を誘導し中和抗体の感受性を増強する低分子化合物の開発 平成20年度は、HIV-1 Envの立体構造を変化させて、中和抗体の感受性を増強させる化合物の検索を行った。NBD-556という低分子化合物はV3ペプチドに対するCD4i抗体の反応性を増強することがELISAアッセイで確認できた。また、感染細胞表面のHIV-1 Envに対するCD4i Abや抗V3Abの反応をsCD4非存在下で有意に増強することがFACS解析により確認できたことから、この化合物が三量体上でCD4様の立体構造変化(エピトープの露出)を惹起していることが分かった。これらを確認した後、HIV-1治療用中和抗体KD-247との相乗効果の判定を行った。この抗体は、6種類のV3のtip部分を含むペプチドを連続してマウスに免疫することにより得られたもので、gp120の可変領域以外の部分をヒト型に置き換え、HIV-1感染者への臨床投与を目指して開発されて来た単クローン抗体である(Eda Y, et al., J Virol 80:5552-5562,2006, J Virol80:5563-5570,2006)。NBD-556とKD-247を同時にウイルスと反応させて、それぞれ単独投与時と比較して、相乗効果が見られるかを2種類の異なるsynergy判定法(Chou and Talalay's methodと3-Dementional method)で確認した。その結果、NBD-556を加えることで、KD-247の中和活性が増強されることが分かった。このことから、NBD-556がsCD4と非常に似た中和感受性増強作用を引き起こすことが示唆された。今年度の結果から、この化合物とその誘導体が非常に有望な構造変化誘導物質であることが確認できた。来年度は、この化合物がどのようにウイルスのgp120と結合しているかを予測するため、我々が新規に樹立したin vitro耐性誘導システムを用いて(Yoshimura K, et al., AIDS,20:2065-2073,2006)、化合物に耐性のウイルスを誘導し、sCD4の耐性ウイルスとシークエンスを比較する予定である。
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