2009 Fiscal Year Annual Research Report
病理標本を利用した細菌感染症の今日的再考:細菌検査の死角を検証する
Project/Area Number |
20591210
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
塩竈 和也 Fujita Health University, 医学部, 助教 (10387699)
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Keywords | 細菌感染症 / 膿尿 / 免疫組織化学 / in situ hybridization |
Research Abstract |
前年度の一般細菌(大腸菌、腸球菌、MRSA、MSSA、MRSE、緑膿菌、クレブシエラ)を対象とした酵素抗体法における検出条件の確立に引き続き、本年度はin situ hybridization (ISH)法における至適検出条件の検討を行った。対象プローブは、血液塗抹標本用のハイブリゼップ(扶桑薬品)に付属されている5種類のジゴキシゲニン標識DNAプローブ(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌、腸球菌、大腸菌)を転用し、ホルマリン固定パラフィン切片における検出を試みた。大腸菌プローブは、エンテロバクターおよびクレブシエラにもcross reactionを生じることが確認されでいる。すでに作製済みの細菌コロニー標本を用いて、核酸露出処理、hybridizationの温度および時間、hybridization後の洗浄に絞って条件検討を行った。検出困難が予想されたため、組織化学的検出はチラミド増感法であるCSA II法(Dako社)により実行した。緑膿菌、腸球菌および大腸菌は、0.04%proteinase Kによる核酸露出処理によって検出された。Staphylococcus属である黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌は細胞壁成分の消化が非常に困難だったが、黄色ブドウ球菌は三重処理(0.05% saponin/0.05% TritonX-100、0.1% lysostaphin、0.04% proteinase K)、表皮ブドウ球菌は二重処理(0.1% lysostaphin、0.04% proteinase K)により検出可能となった。これらの検出条件は膿尿セルブロックに十分応用可能であるが、二重・三重処理による組織の損傷を確認する必要がある。必要に応じて検出条件の部分的な見直しを行わなければならない。膿尿セルブロックは、全症例について連続切片を作製した後、HE染色、Gram染色(Hucker変法およびBrown-hopps法)、PAS反応、Grocott染色、Giemsa染色を施行して細菌の形態および炎症細胞の程度を評価した。各種抗体を用いた免疫染色の解析も進行中である。
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Research Products
(3 results)